研究課題/領域番号 |
16K11568
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 二郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (00247313)
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研究分担者 |
石井 信之 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20163610)
浜田 信城 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20247315)
佐藤 武則 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40638904)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | EDTA / アルカリ性 / 根管洗浄剤 / 抗菌効果 / 脱灰 |
研究実績の概要 |
歯内療法における根管洗浄は,機械的に除去できない感染源を化学的に除去する重要な操作で,現在,有機質除去が可能な次亜塩素酸ナトリウム (NaClO) 溶液と無機質除去が可能なエチレンジアミン四酢酸 (EDTA) 溶液を用いた方法が推奨されているが,NaClO溶液は,温度や光による影響を受けやすく,複雑な根管系へ安定した応用性に優れ根管洗浄効果を併せ持つ洗浄液の開発が期待されている.本研究は,アルカリ性に調整した試作EDTA溶液の有用性を象牙質脱灰効果, E. faecalis に対する抗菌効果およびE. faecalisバイオフィルムの除去効果を解析 し評価した.EDTA濃度の高い試作EDTA溶液は,pH調整によりカルシウムイオンに対するキレート力が増強され適切なスミヤー層除去効果を有していたが,根管象牙質に長時間作用させた場合,根管象牙質硬さに対して統計学的に有意差が出ることを確認した.しかしながら臨床的な作 用時間内(1~15分)であれば,根管口部,根管中央および根尖部において,処理後の象牙質硬さの変化や,スミヤー層の除去効果に有意差は認められなかった.さらにE. faecalisに対しても十分な抗菌効果とバイオフィルム除去効果を示した.本年度は試作EDTA溶液の市販化に向け,追加試験を実施したいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.ヒト抜去歯を用いた根管清掃効果 実験には本学附属病院で抜去された単根歯30本を用いることとする.本学大学院倫理委員会の承認を得た後,抜去歯のタービンを用いて髄腔開拡を行なった後,根管拡大形成をSelf-Adjusting ファイルシステム(SAF,長田電機工業)を用いて行なう.SAF は回転数が5000 rpmの場合と, 3000 rpmの場合の2種類に分けて行ない,その後各実験群において,被験試料を根管洗浄に用いた後,抜去歯を割断し,根管内部の清掃効果を電子顕微鏡 (SEM)にて根尖部,根中央部および根管口部に分けて評価を行った. 2.根管洗浄液の殺菌効果 感染根管内から多く検出されるPorphyromonas gingivalisやPorphyromonas endodontalisや,難治性根尖性歯周炎より検出されるEnterococcus faecalisとCandida albicans をブレインハートインフュージョン (BHI) 液体培地で18時間培養したものを用いる.各供試菌液をBHI寒天培地上に無菌的に塗沫後,直径6 mmの滅菌ろ紙に被験試料を各10 µLずつ滴下させた後,P. gingivalisと P. endodontalisおよびE. faecalisは37 oC,5日間嫌気培養を,C. albicansは,37 oC,2日間好気培養を行ない,培養後にろ紙周囲に形成された発育阻止円の直径を測定し評価を行った. 3.根管洗浄液の細菌増殖抑制効果 2倍濃度のBHI液体培地と各供試試料を混合させたものに,P. gingivalis,P. endodontalis,E. faecalisおよびC. albicans を加えて,37oC嫌気培養を行ない,経時的に試料を採取後,波長600 nm で濁度測定を行った.
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今後の研究の推進方策 |
現在,根管洗浄液として最も有効とされているNaOCl溶液は,単独では強力な有機質溶解作用を有するが,無機質に対しての有効性はなく,EDTAとの併用により無機質の溶解が可能となり,緊密な根管充填を可能にすることから,この2種類の洗浄液の併用法が根管洗浄法 として推奨されている.さらに,有機質と無機質の両方が除去可能な根管洗浄液が,未だ存在しないことから,安全性が高く簡便で強 力な根管清掃効果を有する根管洗浄液の開発が急務になっている.そこで,EDTA溶液をベースとしてNaClO溶液と同程度の酸緩衝能に 調整した強塩基性水溶液を用いて,申請者らがすでに確立したヒト抜去歯根管モデルを用いた根管象牙質評価法と,口腔内細菌を用いた細菌学的評価法により,難治性バイオフィルム分解効果を有する新規多機能性EDTAの有効性を評価していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予定していた各種濃度の異なる洗浄液を用いたヒト抜去歯根管清掃効果およびヒト歯肉上皮細胞への影響への評価を,平成30年度に行なうこととなったため.
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