研究課題/領域番号 |
16K11569
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
森戸 亮行 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10514854)
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研究分担者 |
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
細矢 哲康 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00157033)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / simvastatin / bFGF / 歯髄再生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は歯髄幹細胞の増殖能と多分化性を向上させることができるbFGFと石灰化促進作用をもつsimvastatinの2種類の薬剤を同時に作用させることにより象牙質/歯髄複合体の再生を試みることである。当該年度では、bFGFおよびsimvastatinが歯髄幹細胞と象牙芽細胞へ作用した際の歯髄幹細胞と象牙芽細胞の動態を明らかにすること、またbFGFとsimvastatinを含有するゼラチンハイドロゲルを作成することを目的としている。 今回bFGFおよびsimvastatinが歯髄幹細胞と象牙芽細胞の増殖能、分化能および石灰化物形成能に与える影響を評価した。増殖能の評価に関しては、DNA量を測定することにより相対的に評価し、また分化能および石灰化形成能に関してはアルカリフォスファターゼ(ALP)活性、カルシウム量測定、および定量的PCRにより評価を行った。またbFGFとsimvastatinを徐放するゼラチンハイドロゲルの作製を行った。 bFGFにより歯髄幹細胞の増殖性を上昇させ、simvastatinは低下させることを示し、またsimvastatinの作用により歯髄幹細胞のALP活性が上昇し、カルシウムを産生する細胞に分化したことを示した。さらに象牙芽細胞にsimvastatinを作用させることにより、BMP2遺伝子を発現することがわかった。またトランスウェル上に播種した象牙芽細胞をsimvastatin含有培地により培養し歯髄幹細胞と共に培養することにより歯髄幹細胞は象牙芽細胞様細胞に分化することを示した。bFGFとsimvastatinの2つの薬剤を含有するゼラチンハイドロゲルを作製することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した研究期間内に(1)bFGFとsimvastatinの歯髄幹細胞、象牙芽細胞への作用を解析すること、および(2)bFGFとsimvastatinの徐放化ゼラチンハイドロゲルの作製技術を確立すること、の2点である。(1)の細胞内のシグナル伝達経路の解析のみ終了していないが、(1)(2)ともに順調に進んでいるため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標である象牙質/歯髄複合体の再生の確立に向け、作製が確立したゼラチンハイドロゲルの機能解析および生体内での組織再生が可能であるかどうかを確認する。機能解析はin vitroでの分解性試験や徐放試験などにより行う。次に、in vivoの断髄モデルにおいて、断髄面に充填する材料として、(1)コントロール(bFGFとsimvastatinが含有していないゼラチンハイドロゲル)、(2)bFGF徐放化ゼラチンハイドロゲル、(3)simvastatin徐放化ゼラチンハイドロゲル、(4)bFGFおよびsimvastatinの徐放化ゼラチンハイドロゲルを使用する。ヘマトキシリン-エオジン染色および免疫染色により象牙質形成を組織学的に評価し、bFGFおよびsimvastatinの徐放化ゼラチンハイドロゲルの有効性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の旅費が想定よりも少なかったために当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験を主に行っていくため、ゼラチンハイドロゲルの作製のための材料費、京都大学でのゼラチンハイドロゲル作製を行なうための旅費、in vitroで使用する試薬、消耗品、および実験動物(ラット)などに使用する。
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