研究課題
象牙質と幹細胞を組合せたハイブリッド材料を骨補填材へと応用するため、①組合せる幹細胞の動態解析と、②作製したハイブリッド材料の動物モデルへの移植後の評価を行い、以下の結果を得た。①象牙質または人工骨補填材(水酸化アパタイト(HA)、β-TCP)と共に骨髄由来または歯髄由来幹細胞を7日間培養して複合体を形成させ、リアルタイムPCR法にて骨芽細胞、象牙芽細胞のマーカーのmRNA発現レベルを検討し、象牙質顆粒およびHAとの複合体で、骨芽細胞マーカーの発現レベルが上昇し、象牙質顆粒を用いた群ではI型コラーゲンの発現上昇が顕著であった。またALP活性染色でも、象牙質顆粒およびHA群で濃染された。歯髄由来幹細胞を用いた試料では、象牙質顆粒群で象牙質リンタンパク質(DPP)のmRNA発現上昇がみられた。マウス骨髄由来細胞混合培養系を用いて破骨細胞分化を検討したところ、象牙質顆粒存在下で活性型ビタミンDを添加し培養した群ではTRAP陽性の巨細胞が多数観察された。これに対して人工骨補填材を用いた群ではTRAP染色性も象牙質群と比較して低く、巨細胞はみとめられなかった。②①の試料を骨補填材としてヌードマウス背側皮下に埋植し、3週、6週後の組織を検討したところ、埋植後3週で、象牙質ハイブリッド材料埋植群に顕著にTRAP陽性細胞が観察され、象牙質顆粒周囲に管腔構造が多数みられ、血管内皮細胞マーカーCD34陽性細胞が多数観察された。埋植後6週の組織では、象牙質ハイブリッド材料群で移植材料周囲にオステオカルシン陽性かつヒト核抗原陽性細胞が多数みられ、骨髄由来幹細胞が埋植後も組織で生存し、骨芽細胞様に分化していることがわかった。歯髄由来細胞移植群では未分化幹細胞マーカーであるCD105陽性細胞が散見され, いずれも移植後の組織で生存するも分化動態は異なっていることが示された。
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