研究課題
顎関節症に伴う慢性筋痛の多くは筋・筋膜性疼痛疾患(MPS)と同様の症状を含み,異常な線維性構造(索状硬結)の存在と遷延化した炎症性サイトカイン産生を特徴とする.しかしながら,その発症メカニズムは不明であり,治療法も確立されていない.運動後の筋の超回復では細胞融合/取り込みが活発化し,障害(壊死)細胞をも取り込むことが報告されている.本研究ではその現象に着目し,運動後に浸潤する好中球の取込み(細胞融合のエラー)が炎症性筋線維の形質転換に繋がることを明らかとすることを目的として行う.これまで①運動(咀嚼様、および強制歩行運動)時の筋組織内への好中球遊走とIL-1産生、および②炎症性サイトカインIL-1の筋衛星細胞(筋の幹細胞)の増殖/分化の誘導能について示してきた.①についてはマウス(Balb/cマウス,オス,5週齢)を用い,咀嚼様運動に伴う筋疲労を誘導し,組織内における好中球の動態について検討を行い、2光子顕微鏡による組織観察を行った.また、筋膜構造のエラスチンを指標とした形態学的変化に関する検討を行った.その後,好中球欠損(Gr-1投与、100μg/mouse, iv.)により,筋膜構造の機能適応が抑制されることを明らかとした。②についてはIL1遺伝子欠損マウスより筋衛星細胞を単離、培養し、IL-1の幹細胞増殖/分化に対する作用について検討を行った。また,筋衛星細胞と血管内皮細胞との共培養による分化促進が示された.以上の結果から,軽度な筋組織外傷といえる運動疲労時において,好中球には筋機能を維持する機能があり,それらの作用はIL-1産生を介している可能性が示された.IL-1は主要な炎症性サイトカインとしての働きが知られる一方で、生理的な意義については不明な点が多かったが、我々の結果は筋機能維持におけるIL-1の機能的役割を示す所見であることが明らかである.
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