研究課題/領域番号 |
16K11581
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神田 佳明 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (00709123)
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研究分担者 |
小川 徹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50372321)
松舘 芳樹 東北大学, 大学病院, 医員 (40755170)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インプラント / 高周波振動刺激 / 超音波パルス |
研究実績の概要 |
低強度・高周波振動刺激(Low Magnitude and High Frequency Loading : LMHF Loading)および低出力 超音波パルス刺激(Low intensity pulsed ultrasound : LIPUS)の持つメカノバイオロジカルな骨形成 促進効果に着目,非侵襲的,薬剤非依存的なインプラント周囲骨造成術の基盤確立を目的とする.本研究は,LMHF loadingおよびLIPUS二つの異なる物理的刺激の併用によるインプラント周囲骨形成促進効果の最適化について,小型実験動物モデルさらに高次実験動物モデルを用いた集約的検討を行い,確実・安全なインプラント治療の確立に向けたトランスレーショナルリサーチを展開し、インプラント補綴への応用における必要十分条件を解明・把握し,確実性・予見性の高いインプラント治療への論理的な基盤確立を最終目的とする. 昨年度は,ラット脛骨インプラント埋入モデル(wisterラット脛骨-デンタルインプラント)を用いて,コントロール群,LMHF群,LIPUS群および併用(LMHF+LIPUS)群を設定し,それぞれ先行研究の条件を用いて比較検討を行った.インプラントオッセオインテグレーションの進行度についてはOstellを用いてISQ値を測定した。インプラント周囲骨へのそれぞれの効果,さらにはその併用効果については,インプラント除去トルク試験やμCT,組織学的・組織形態学的検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り,昨年度は動物実験モデル、ラット脛骨インプラント埋入モデル(wisterラット脛骨-デンタルインプラント)の確立をまず行った.インプラントは、直径(φ3.5mmm×13mm)の市販のデンタルインプラントを用い、両側脛骨にを埋入,所有の振動刺激装置にて加速度0.5G,周波数50Hz,刺激時間15分/日,週5日の条件で全身的な低強度高周波振動刺激を付与した.また、一方の脛骨にはLIPUS刺激を加え、併用群とした.LIPUS群は、LIPUS刺激のみを加えた.インプラントオッセオインテグレーションの進行度についてはOstellを用いてISQ値を2回/週、測定した。埋入後 1週および 4週にて屠殺し,片側脛骨は除去トルク試験(インプラントオッセオインテグレーションの物理的強度の評価)に,対側はμCT画像解析および組織形態学的評価(インプラント-骨接触率やインプラント周囲骨密度)に供した.μCT画像解析では,インプラント周囲皮質骨及び海綿骨内に設定したROIの相対グレイ値(水=0,インプラント=100)により石灰化度を評価した.現在,実験データの解析を行っている.また、組織作製についてはPMMA包埋作業が完了した. ワーストケースを想定するため,週齢の高いラットを用い,一連の動物実験を行ったが、オッセオインテグレーションが得られなかったものがコントロール群において多く認められた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,μCT画像解析および組織資料作製、組織形態学的評価を早期に完了し,LMHFとLIPUSそれぞれ単独での効果、さらにはLMHF+LIPUSの相乗効果について明らかにする。その結果をもとに同動物実験モデルにて,インプラント形状やコーティングの違いについても検討を加え、最終年度の高次の動物実験モデルへの基礎的な基盤を確立していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,当初計画していた今年度の実験が効率的に進行したことに伴う発生した未使用額であり,平成29年度の研究遂行により使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の使用予定としては,追加の動物実験,データ解析および論文制作にかかわる経費,また研究打ち合わせおよび研究成果発表旅費としても使用予定である.
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