研究課題/領域番号 |
16K11583
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
稲垣 亮一 東北大学, 歯学研究科, 講師 (60260444)
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研究分担者 |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30431589)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CAD/CAM / レジン / クラウン / 脱離 / 疲労 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、サーマルサイクリングや繰り返し荷重がCAD/CAM硬質レジンクラウンの強度低下に及ぼす効果は限定的であることが示唆されている。また、対照群として用いた二ケイ酸リチウムガラスセラミッククラウンと同程度の耐疲労性を有していることから、強度の観点からは臨床使用に問題ないことが示唆された。そこで、平成29年度の研究では、サーマルサイクリングや繰り返し荷重がCAD/CAM硬質レジンクラウンの脱離に及ぼす影響を調べた。 支台築造に用いられるコンポジットレジン(ユニフィルコア)を用いて支台歯模型を作製した。この支台歯模型を歯科用光学スキャナーを用いてスキャンし、歯科用CAD/CAMを用いて硬質レジンクラウン(Cerasmart)を作製した。レジンセメント(Panavia F2.0)を用いてクラウンを支台歯模型に合着し、サーマルサイクリング(5-55℃を5万回)および繰り返し荷重試験(200 Nで120万回)を行った。疲労試験後に、クラウン引き抜き試験を行い、脱離力を評価した。対照群としては、CAD/CAMガラスセラミッククラウン(GN-Ceram)を用いた。その結果、CAD/CAM硬質レジンクラウンでは、サーマルサイクリングおよび繰り返し荷重によって、クラウン脱離力が有意に低下することが分かった。特にサーマルサイクリング中に10試料中7試料でクラウンの脱離が認められれた。対照群のCAD/CAMガラスセラミッククラウンでも、サーマルサイクリングによるクラウン脱離力の低下が認められたが、CAD/CAM硬質レジンクラウンのクラウン脱離力の方がより疲労試験によって影響を受けることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたCAD/CAM硬質レジンクラウンのクラウン脱離に関する研究を実施し、結果を得た。しかし、支台歯形態がCAD/CAM硬質レジンクラウンの脱離力に及ぼす影響の検討は完了しておらず、継続して実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
支台歯形態がCAD/CAM硬質レジンクラウンの脱離力に及ぼす影響に関する研究を引き続き行う。すでに支台歯のシャンファー幅、軸面高さ、テーパーが異なる支台歯のCADデータを作製し、4つのタイプの支台歯模型の試作まで終えている。この試作支台歯とCAD/CAM硬質レジンクラウンを用いた予備実験を行い、実験系の検証を行う。予備試験でクラウン引き抜き試験に関する問題が認められた場合には、試験治具の改良を行って対応する。予備試験終了後に、支台歯模型およびCAD/CAM硬質レジンクラウンを1群当たり10個ずつ作製して本試験を実施する。 また、当初の研究計画に則って、CAD/CAM硬質レジンに対する細菌付着様相の解析を実施する。実験に使用する菌種は、当初計画していたStreptococcus mutansに加えて、デンタルプラークを構成する細菌の中でも初期定着菌として知られるS. mitis, S. salivarius, S. oralisも用いることで、より臨床に関連したデータを得る計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成29年度の実験では、支台歯形態がCAD/CAM硬質レジンクラウンの脱離力に及ぼす影響に関する研究を完了することができなかった。そのため、それらの実験に係る費用を使用しないこととなった。 (使用計画) 平成30年度には、平成29年度に支台歯形態がCAD/CAM硬質レジンクラウンの脱離力に及ぼす影響に関する研究を終了させるとともに、当初の計画に則ってCAD/CAM硬質レジンに対する細菌付着様相の解析も行う。従って、それらの実験に必要な経費として使用する。
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