研究課題/領域番号 |
16K11584
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
羽鳥 弘毅 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (40372320)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 講師 (80302157)
萩原 嘉廣 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90436139)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光音響3D顕微鏡 / ラット / 咬筋 / 赤血球分布 / 血液循環 / 組織弾性 / サルコペニア / 光音響効果 |
研究実績の概要 |
生後16週齢のWistar系雄性ラット12匹を用いて実験を行った。通法の全身麻酔を施した後、生後16週齢において上顎右側臼歯3本を抜去した。抜歯後1もしくは4週の飼育期間を経た後、両側咬筋を摘出し光音響3D顕微鏡による観察に供した。 波長532nmのレーザー光を利用した光音響3D顕微鏡観察では、両群において光音響信号の受信および画像データへの変換に成功した。抜歯後1週の飼育期間における、左側(咬合側)および右側(抜歯側)の光音響信号強度の比較においてはは有意な差は認められなかった。抜歯後4週の飼育期間における、左側(咬合側)および右側(抜歯側)の光音響信号強度の比較においては右側(抜歯側)が左側(咬合側)よりも有意に減少していた(p<0.05)。また、抜歯後1および4週における右側(抜歯側)咬筋の比較においては、光音響信号は4週が1週よりも有意に減少していた((p<0.05)。以上より、光音響3D顕微鏡は咬筋内の赤血球分布を可視化することに成功した。また、抜歯後4週の抜歯側咬筋は抜歯後1週の抜歯側咬筋および抜歯後4週の咬合側咬筋よりも赤血球分布が有意に低いことから、抜歯に伴う片側咀嚼では抜歯側咬筋の赤血球分布低下すなわち血液循環障害を引き起こすことが示唆された。 中心周波数50Hzの超音波を利用した超音波顕微鏡では、両群において超音波信号の受信および画像データへの変換に成功した。本観察から、抜歯後4週の咬合側咬筋の超音波信号は他の3群よりも有意に増加していた(p<0.05)。以上より、超音波顕微鏡は咬筋の弾性を可視化することに成功した。また、抜歯後4週の咬合側咬筋は片側咀嚼による筋負荷の上昇による筋弾性の増加を引き起こすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光音響3D顕微鏡による観察は順調に進行している。ラットの片側咀嚼モデルを利用した実験系では、光音響信号の送受信およびこの信号の画像化また超音波信号の送受信およびこの信号の画像化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本実験系を利用して廃用・サルコペニア・血液循環・組織変性を免疫組織学的手法および遺伝子組織学的手法を用いてさらなる検証を加える。今後はラットを用いて咀嚼筋および骨格筋サルコペニアモデルを作製し、「筋組織内循環血液障害」と「筋組織弾性の変化」の定量評価を行う予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年8月1日付けで所属研究機関の変更がありました。新規所属研究機関での動物実験において、動物実験計画書の新規作成および承認まで時間を要した。そのため使用動物の搬入に遅れが生じ、次年度使用額が発生した次第です。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度では、「1.平成28年度に行う予定であった動物実験」と「2.平成29年度の動物実験」を同時に行い、研究計画の進捗を行う予定です。 「1.平成28に行う予定であった実験」では、次年度使用額281,845円を使用することにより動物実験を行う.その内訳は、動物購入費用および動物飼育費用として約80,000円(1匹4,000円×20匹)を、また観察費用(実験消耗器具および免疫染色抗体)として約200,000円を計上する予定です. 「2.平成29年度の動物実験」では,研究計画調書に基づき研究を進捗することを予定しています.実験調書の通り、サルコペニアモデルに筋機能再活動を与え、「筋組織血液循環」および「筋組織弾性」の変化を経時的に観察する予定です。
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