研究課題/領域番号 |
16K11588
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
|
研究分担者 |
荒井 良明 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10301186)
田中 茂雄 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20262602)
山田 一穂 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20397152)
黒川 孝一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60215085)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 歯学 / 骨応力予測 |
研究実績の概要 |
本研究はCTによる顎骨の撮影データと咬合データが必要となることから、平成28年度は臨床上必要なCT撮影画像および咬合検査のデータの研究解析対象として利用するための同意を患者から得るべく、研究代表者、研究分担者(4名)および連携研究者(1名)の体制で新潟大学歯学部倫理委員会に審査を申請し、承認を得た。同意を取得した患者の歯科用コーンビームCT(以下CBCT)により撮影したインプラント治療前の下顎臼歯部の埋入予定部位から得られた画像データをモデル構築の対象とした。金属体のアーチファクトを回避するために、別途撮影したインプラント体(実際に埋入したインプラント体と同型番のもの)および製作した上部構造のマイクロCTデータと患者から得られた画像データとを3次元骨梁構造解析ソフト(TRI/3D-Bonラトック社製)の位置合わせ機能オプションを用いてインプラント植立状態をシミュレートした3次元有限要素解析(以下3D-FEM)モデルを構築した。また、同患者から得た上部構造装着後の咬合圧を参考に3D-FEMソフト(TRI/3D-FEMラトック社製)を用いてモデルの上部構造に113.2Nの荷重を設定し、インプラント周囲骨の応力分布を解析した。インプラント周囲骨の応力は皮質骨においてインプラント頸部,海綿骨において細い骨梁に集中したものの、インプラント・骨の界面に広く分散する傾向にあり、全般に低い値を示した。この方法を用いて平成29年度・30年度にCTデータおよび咬合データが整い蓄積された各症例においてインプラント周囲骨の応力分布を解析していく。 平成28年度中に、同意が得られた、2名のインプラント埋入前の残存歯咬合圧から埋入後のインプラント咬合圧を推定するために、インプラント埋入前における残存歯の咬合圧をデンタルプレスケールにより採得し、記録した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は本研究をおおむね研究実施計画に従って実施し、得られた研究結果は国内学会および国際学会に発表したことから現在までの達成度がおおむね順調に進展していると評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
28年度中に3次元データ間の重ね合わせおよび咬合圧を負荷するシステムの検証ができたため、29年度は症例を増やし、咬合圧測定を継続し、各症例においてインプラント咬合力を推定する。その際、左右的に均等に分布されていることをベースに残存歯の咬合力から欠損部位にインプラントが埋入されていることを想定し、それにかかる咬合力を推定していく。また、インプラント埋入後に上部構造にかかる咬合圧を測定し、術前で推定した値と埋入術後に実際に測定した値との比較により推定値と推定のプロセスを検証する。 また、同意のもとにCBCTデータを取得した症例において、骨梁モデルおよび同症例において導き出したインプラント咬合力を用いてTRIシリーズの解析ソフトにより3D-FEM解析を行い、インプラント周囲骨の応力を解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に受領した助成金の一部は次年度に繰り越した。それは本研究結果を発表するために参加した国際学会の開催時期は3月下旬であったため、それに伴う旅費と学会参加費は次年度に支払われることとなったことや基本解析ソフトの更新費用は予定より安価で調達できたことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は申請書に示した消耗品の他、歯科インプラント体(実際に対象者に埋入されたインプラント体と同型番のもの)を購入する予定である。また、旅費に関して、繰り越されている代表者への海外出張費の支払いに加え、該当年度に学会発表を目的とする海外出張(代表者分1名)や代表者、分担者(4名)および連携研究者(1名)が発表や資料収集・情報収集に出席予定の国内学会への出張に用いる予定である。また、その他の経費に関して上述の学会参加に伴う参加費に用いる予定である。
|