研究課題/領域番号 |
16K11589
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
白石 成 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60585355)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 摂食嚥下 / 咀嚼 / マルチレコーディング / 大脳皮質 / 慢性実験 |
研究実績の概要 |
補綴治療を始めとする歯科的介入は、単なる咬合機能の回復にとどまらず、摂食機能全体に与える効果が期待されている。この研究の意義は、咀嚼から嚥下に至る過程および口腔機能と大脳皮質の機能連関を神経学的に明らかにし、要介護高齢者や有病者の摂食嚥下障害において、口腔機能や咀嚼機能の維持と回復に向けた取り組みのエビデンスを得ることである。具体的には、覚醒動物を対象として、マルチレコーディングシステムを用いたニューロン記録を行い、咀嚼や嚥下時の口腔顔面領域の感覚入力の変化が及ぼす脳の情報処理動態を解明することを目的としている。 平成28年度は、多チャンネル電極を用いたラット自由行動摂食時におけるニューロン活動の記録法の確立を目指した。この確立のために、シカゴ大学のRoss教授の下に短期海外研究を行い、同研究室に所属し研究協力者である高橋先生と実験方法や実験手技について議論を重ねた。この海外研究においては、自由摂食時のラット行動をX線透視を用いて3次元的に記録する方法を確立した。その成果の一部を平成29年3月に開催されたDRSにて発表を行った。大脳皮質咀嚼野や一次運動野で制御される咀嚼と、嚥下中枢とある延髄とその機能を修飾する末梢性入力に影響を受ける嚥下において、咀嚼から嚥下に至る行動の解析には摂食行動の記録は重要であることからこの成果の意義は大きいといえる。また、海外研究では、マルチチャンネルを用いてラット大脳皮質からのニューロン記録の手技および解析方法を学んだ。この研究領域では、電気生理学的な知識とその実験手技、さらに得られたビッグデータを解析するプログラミングスキルは必要不可欠であり、これら双方を学ぶ機会が得られたことは実験進捗に有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、多チャンネル電極を用いたラット自由行動摂食時におけるニューロン活動の記録法の確立を目指している。その確立に際し、概ね実験系は確立したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、確立することができた実験系にてニューロン活動を長期に渡って記録する方法を検索する。本研究では慢性実験であり2ヶ月程度のレコーディングを予定している。実際に処置を施した実験動物を長期飼育し、記録されるニューロン活動の変化から、より理想的な電極埋入方法や固定方法、飼育方法等の検索を行う。 また、ラットの咬合回復モデルの確立を行う。具体的には、ラット上顎臼歯部の抜歯やミニインプラント埋入等の実験手技の検討を行い、より非侵襲的な手技の獲得を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は海外研究を行ったことで購入予定であった消耗品の一部の購入を控えたため、次年度使用金額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定であった消耗品は平成29年度に購入を実施、実験を進める予定であり、使用計画に大きな変更点は生じないと考えている。
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