研究課題/領域番号 |
16K11594
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森田 晃司 広島大学, 病院(歯), 助教 (30555149)
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研究分担者 |
土井 一矢 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (80444686)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポーラスチタン / 骨再生 / ポリリン酸 |
研究実績の概要 |
近年、満足できる機能的および審美的回復への骨増生のニーズにはβ-TCPやアパタイトなどの骨補填材が主に用いられる。しかしながら、現在、腫瘍での区域切除、顎骨骨髄炎や外傷などの広範囲な顎骨欠損では従来の吸収性や非吸収性の骨補填材を用いた場合、骨の回復を望むことは難しい。またチタンプレートを用いた骨再建では、治癒後プレートを除去する必要がある上に、骨吸収を起こすなど予知が不十分であり満足のいく治療とは言い難い。これらのことから,外科的侵襲が小さく確実な骨増生を可能とする新しい人工骨の開発が強く望まれてきた。そこでわれわれは、チタン内部まで血液や細胞が導入され骨伝導をもつ連通ハニカム構造を付与したポーラスチタンを創製しこれを臨床応用すること着想した。平成29年度の研究計画は連通ハニカム構造を付与したポーラスチタンのin vitro における骨再生能の解明である。材料には大きさが10×10×2mmでそれぞれの気孔率を20、40、80%に設定したポーラスチタンを使用した。また、コントロールとしてポーラスアパタイトも準備した。細胞はマウス頭蓋骨由来前骨芽細胞、培地はDMあるいは骨分化誘導培地を用い、細胞増殖数、mRNAおよび石灰化の測定を定量した。ポーラスアパタイトの結果において、アパタイト上では細胞増殖は10日まで、Ⅰ型コラーゲンおよびALPは骨分化初期に、OPNは骨分化中期、OCNは骨分化後期に発現を、さらに成熟した石灰化を十分に確認することができ、異なった気孔率の細胞実験の測定を評価するに十分な骨再生能をもっていることを示した。以上のことから、ポーラスアパタイトの骨再生能は臨床応用を実現するに足り得る可能性が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の課題は材料の作製である。前々年度では連通ハニカム構造を付与したポーラスチタンを作製しその力学的違いを明らかにした。平成29年度の課題は細胞実験であり、連通ハニカム構造をもつポーラスチタンの良好な細胞増殖と骨再生能を確認した。したがって、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しており、今後は細胞実験と動物実験を含んだ研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、材料の作製、細胞培養および動物実験を計画している。細胞実験や動物実験に影響を与える可能性があるチタンの保存や管理、滅菌、乾燥や保管は非常に重要である。本研究では特に上記の点を留意して細心の注意を払った実験を行う。
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