研究課題
金属アレルギーは遅延型アレルギーであり、Tリンパ球が関与して発症することが報告されているが、扁平苔癬様症状や掌蹠膿疱症や全身性接触皮膚炎症候群等の重篤な症状発症メカニズムは未解明である。診断方法はパッチテストが第一選択であるが、試薬貼付による感作のリスクや複数回受診の必要性等の問題点がある。新しい診断方法としてmicroRNA(miRNA)の利用が考えられる。miRNAは生体内に存在する小さなRNAで、標的messengerRNAの機能を抑制的に調節する。近年の研究で、がん等の疾患にともなって患者の血液中で種類や量が変動することが明らかになり、次世代バイオマーカーとして注目されている。本研究はパッチテスト貼付前後の経時的な末梢血 miRNA 解析を行い、金属 アレルギー発症の特異的遺伝子を同定し、新しい診断マーカーを確立することによって、非侵襲的かつ簡便な診断方法の確立を目的とする。20歳代の金属アレルギー症状のあるボランティア女性2名(以下患者群)と健常者2名(以下健常者群)を対象に、鳥居薬品社製パッチテスト試薬金属とパッチテスタートリイを用い、パッチテストを実施した。International contact dermatitis research group基準でパッチテストの判定を行うとともに、パッチテスト前後で末梢血のmicroRNA(以下miRNA)を測定したところ、患者群においていくつかのmiRNAの発現レベルが有意に抑制された。発現抑制されているmiRNAは、INGENUTIYによる解析で、炎症性疾患と炎症反応に関連していることが明らかになった。
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