研究課題/領域番号 |
16K11604
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
末廣 史雄 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (40524781)
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研究分担者 |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 顎骨骨髄間質細胞 / 顎骨増生 / 神経誘導 |
研究実績の概要 |
間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells:MSC)/骨髄由来間質細胞(Bone Marrow Stromal Cells:BMSC)を用いて骨再生を図る研究が報告されて以来、自己細胞を用いた骨増生のための研究は数多く行われている。骨増生には血管新生が必要であるとの報告がある一方で、骨代謝は神経系の調節を受けているとの報告もある。そこで本研究では、上/下顎骨骨髄由来間質細胞(Mandibular / Maxillary Bone Marrow Stromal Cells:MBMSC)を用いて神経誘導(神経突起の伸展)と骨形成との関わりを解析し、骨形成に必要な細胞の性質を明らかにすることで新規骨再生法開発を行う。さらに骨形成に必要な細胞の新規評価法を開発することで確実な顎骨再生医療の実現を目指す。 2018年3月時点で初代培養からの増殖に成功したMBMSC合計14株の、in vitroにおける解析が概ね終了した。Flow cytometryの結果から、いずれの細胞株においてもMSCのマーカーとされる表面抗原CD73、CD90、CD105は陽性であったが、近年MSCのマーカーとして報告のあるCD140a、CD271、Leptin-Receptorは細胞株によって発現レベルはバラバラであった。またin vitroでの石灰化能とFlow cytometryで陽性反応を示した表面抗原に相関性は認められなかった。今後はSCIDマウスへの細胞移植を行いin vivoでの骨分化能の検討を行う予定である。 MBMSCは腸骨骨髄由来MSCと比較して神経栄養因子BDNFの受容体であるTrkB(NTRK2)の発現が高い細胞株が存在していた。BDNFを添加することでin vitroおよびin vivoでの骨分化にどのような影響を及ぼすのか検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採取したヒトMBMSCのphenotype解析はおおむね終了している。前年度の進捗の遅れの影響により、本年度の実験進捗状況も若干の遅れを認める。今後はin vivoでの高骨形成細胞の性質解析と骨形成細胞分離法および評価法の検討を優先して進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
採取したMBMSCのphenotypeの解析がおおむね終了し、in vivoでの骨形成能とin vitroでの性質の相関性を検討する段階にある。今後は高骨形成細胞の分離法および評価法を検討し、同方法によって分離できたMBMSCの骨形成能の性質を検討し、評価法の妥当性の裏付けを取ることを目指す。また、並行して神経栄養因子(Neurotrophin)やヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を添加することでin vivoでの骨形成能にどのような影響を及ぼすかの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)効率的に消耗品を使用することで使用量を抑えることで物品にかかる費用を抑えることができた。 (使用計画)計画通りに研究が進行することで繰り越し分が物品費として使用されると考えられる。旅費が当初の計画より多めにかかっているため、繰越金は旅費に充てることを計画する。
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