現在インプラント治療は高い成功率により補綴治療の一選択肢となっているが,インプラント埋入部位の骨量が不足している場合には,骨造成が必要となる。骨補填材には自家骨、他家骨、異種骨があり、自家骨はゴールデンスタンダードであるが、骨採取量に制限がある。また他家骨、異種骨は供給量が多いものの、未知の感染のリスクがある。人工骨は供給量が多いが、骨に置換しにくいという欠点を有している.また正式に認可されているインプラント併用可能な骨補填材は少ない.また骨補填材自体が骨に置換しやすく,細胞や成長因子を併用することで骨置換を促進するか検討することが重要となる.骨造成術ではあらかじめ造成量を測定したうえで,いかに簡便に術式をおこなうかが重要である。 本研究では石膏とゼラチンを混合し、水熱処理した3次元ブロック体の炭酸アパタイトおよび混合段階でスタチンを添加し、製作した同様の炭酸アパタイトを製作し、ラット両側脛骨にブロック体で填入後、4週間後の脛骨内の骨形成を評価した。結果ではスタチン非含有、含有とも、欠損のみのモデルよりも骨形成が促進していたが、さらにスタチン含有炭酸アパタイトは、非含有のものより骨置換が促進していることが観察された。形態計測学的評価においても石灰化骨がスタチン含有の炭酸アパタイトでは有意に多く形成されていることが示された。スタチンによる血液マーカーの異常も見られず、比較的安全に利用できる物質であることが示された.
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