研究実績の概要 |
本邦において歯科治療を契機とした顎骨壊死(Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw, MRONJ)が問題とされている。大きなリスク因子となっているが、発症機序については明確でなく、また骨粗鬆症治療薬服用中の積極的な予防法は確立されていないのが現状である。そこで本研究では糖代謝改善効果を持つ薬剤の原発性・続発性骨粗鬆症に対する影響を明らかにし、MRONJの病態制御ストラテジーの確立を目的とした。 SDラットを用いて骨粗鬆症モデルラットを作製した。3週齢ラットを1週間環境に慣らしたのち、デキサメタゾン、ゾレドロネイト酸を週に2度皮下投与した。実験群には糖代謝改善薬としてインスリン、メトホルミンを毎日投与し、対照群には生理食塩水を投与した。投与開始3週後に全身麻酔下で下顎骨に対する外科的侵襲を行い、さらに3週間後に屠殺、サンプルの組織学的評価を行った。 ラット口腔内で、対照群において侵襲を行った創の閉鎖および歯肉の治癒が遅延しているものが多く認められた。また、下顎骨組織標本上で対照群においては腐骨の形成が認められた一方で、実験群では特にインスリン投与群で腐骨形成が抑制される傾向が認められた。
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