研究課題/領域番号 |
16K11610
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
疋田 一洋 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20238281)
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研究分担者 |
根津 尚史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (40264056)
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CAD/CAM / 歯冠形態 / 支台歯形態 |
研究実績の概要 |
本研究では、歯冠形態データから支台歯データおよびクラウンデータの作成を行い、歯冠補綴物製作の完全デジタル化を実証することにある。平成28年度は初年度であるため、まずは研究環境の整備を行った。デジタルデータを変換・設計するためのPCとソフトウエアを選定、購入し、変換プログラムを実際に稼働することを確認した。また、口腔内スキャナーから入力したデータを実際に変換プログラム上で扱えることも確認した。そして、歯冠形状データからCAD上で支台歯形態を設計するための準備を行った。当初の研究計画にしたがって、以下の項目について研究を行った。 1)歯冠形状データの構築:口腔内スキャナーあるいは歯科用CAD/CAMシステムを用いて歯冠形状を計測し、原型となる歯冠形状データを構築した。 2)歯冠形状データのSTLファイルデータへの変換:計測した歯冠形状データは、各機器への互換性を保つために、STLファイルデータへ変換した。 3)歯冠形状データから支台歯データおよびクラウンデータの作成:STLファイルデータに変換した歯冠形状データを3次元スタイラスとCADソフトを用いて支台歯形状に変形した。また、歯科用CAD/CAMシステムを用いてクラウンデータを作成した。 このデータの有効性を確認するために、ステップ毎に歯科用CAD/CAMシステムあるいは3Dプリンターを使用して実体化し、データ変換が適正に行われていることを確認した。 また、当初の計画に加えて口腔内スキャナーの適用範囲の拡大を目指して、小児歯科領域における口腔内スキャナーの有用性の検討と最終的に最適なCAD/CAM補綴物を検討するために、レジンブロックの接着試験と切削加工特性に関する試験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、平成28年度に研究環境の整備を行い、デジタルデータを変換・設計するためのPCとソフトウエアを選定、購入し、変換プログラムを実際に稼働することを確認することができたので、おおむね順調に進展していると考えている。また、当初の研究計画とおりに以下の3項目について実行することができた。 1)歯冠形状データの構築:口腔内スキャナーあるいは歯科用CAD/CAMシステムを用いて歯冠形状を計測し、原型となる歯冠形状データを構築した。 2)歯冠形状データのSTLファイルデータへの変換:計測した歯冠形状データは、各機器への互換性を保つために、STLファイルデータへ変換した。 3)歯冠形状データから支台歯データおよびクラウンデータの作成:STLファイルデータに変換した歯冠形状データを3次元スタイラスとCADソフトを用いて支台歯形状に変形した。また、歯科用CAD/CAMシステムを用いてクラウンデータを作成した。さらに、このデータの有効性を確認するために、ステップ毎に歯科用CAD/CAMシステムあるいは3Dプリンターを使用して実体化し、データ変換が適正に行われていることを確認した。 上記に加えて、小児歯科領域における口腔内スキャナーの有用性の検討も行い、小児歯科患者への適用が可能であることを確認し、得られたデータが模型分析においても有効なデータとして活用できることを確認することができた。この試みは口腔内スキャナーの適用範囲の拡大と従来の模型保存からデジタルデータの保存への転換を試みる上でも重要な試みとなる。さらに、実際の臨床応用に使用するCAD/CAMレジンブロックの接着試験、切削加工特性に関する研究も行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、作成したクラウンデータから、以下のような、クラウンを製作する予定で準備をすすめている。1)歯科用CAD/CAMシステムによるクラウンの作成:歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工でクラウンを製作する。2)3Dプリンターによるクラウンの作成:切削加工だけでなく、将来的な可能性を確認するために3Dプリンターによるクラウンの作成を行う。加工条件を変化させて、クラウンの面性状や適合精度など実用面での検討も行う。 ただし、歯冠形状データあるいは支台歯データを3次元スタイラスで円滑に設計するためには、まだまだ習熟が必要である。最終的に歯冠形状データから支台歯データを設計するためには、まだ相当な時間で設計が必要であり、設計操作の習熟だけではなく、設計方法の簡素化や工夫が必要であり、短時間での確実な設計操作が可能になることを目標とする。 小児歯科領域における口腔内スキャナーの有用性の検討も引き続き行う。複数の口腔内スキャナーでの計測を行い、バンズの大きさ、形状、計測スピード、計測精度の比較を行い、それぞれの有効性の確認や計測データを蓄積する。 また、最終的な補綴物を想定したレジンブロックの特性に関する研究も引き続き行う。新たなレジンブロックや接着性レジンセメント、プライマーが開発されているので、同様な実験を行い。前年度の接着試験でのデータと比較を行う。また、レジンブロックの切削加工に対する特性を検討するために、セラミック系材料においても切削加工試験を行い、比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を学会発表する予定であったが、日程の調整ができずに次年度へ繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に学会発表を行う予定の分については、平成29年度で発表する。
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