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2017 年度 実施状況報告書

インプラント周囲炎に対する先制医療戦略の基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 16K11617
研究機関大阪歯科大学

研究代表者

田口 洋一郎  大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (60434792)

研究分担者 楠本 哲次  大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (70186394)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードグルコース濃度 / 炎症 / チタン / 硬組織分化
研究実績の概要

糖尿病患者に対するインプラント治療のリスク項目として、オッセオインテグレーションの獲得と維持の困難が挙げられる。また実際の糖尿病患者ではインプラント周囲の治癒が遅くなり、新生骨の形成が不足することによりインプラントの成功率が低下する傾向があると報告されている。しかし, 高血糖状態がインプラント周囲硬組織形成に及ぼす影響は十分に明らかになっていない。また糖尿病という全身的リスクファクターを有する患者に対しても有効なインプラント材料の作製が期待されている。そこで, 我々は チタン金属表面にナノ表面改質を施すとチタン表面にナノネットワーク構造が形成され, ぬれ性が向上し, 細胞接着に適している足場環境を付与することが可能になり, 糖尿病患者のインプラント治療に有効ではないかと考え, 高血糖モデル培地を用いて, チタン平板上における硬組織形成能の評価を行った。ALP活性はグルコース濃度の上昇につれて抑制されていくが, OCN産生量とカルシウムイオン析出量はグルコース濃度が8.0mMの時に急激に減少し, その後はグルコース濃度の上昇とともに増加に転じる傾向にあった。またカルシウムとリンの割合はグルコース濃度が8.0mMでは減少し、グルコース濃度の上昇とともに増加に転じることが明らかになった。
これらの結果から, グルコース濃度はチタン表面上の骨量と骨質に大きく関与しており, 高グルコース状態であっても, ナノ表面改質を施すことで, 通常グルコース濃度と同等の骨質と骨量を獲得できる可能性が明らかになった。このナノレベルでの表面改質をインプラントフィクスチャーに応用できれば, 糖尿病患者のインプラント治療におけるオッセオインテグレーションの獲得がより確実になり, 糖尿病患者におけるインプラント治療の適応範囲が拡大されていくのではないかと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

とくに問題なく研究計画を遂行している.

今後の研究の推進方策

ナノレベルでの表面改質を施したチタンの詳細な作用機序の検討やイヌなどの大型動物による臨床モデル試験による検証が必須であり, 今後の臨床応用に向けての課題として, 検討していく必要があると考えている.

次年度使用額が生じた理由

実験計画の一部が手順の都合上来年度に一部持越したため,助成金に関しても一部を次年度へ繰り越すこととした。残した実験計画の一部は実際に始めており,次年度初期に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 高血糖状態が骨髄由来幹細胞や歯根膜幹細胞の硬組織形成に与える影響2017

    • 著者名/発表者名
      嘉藤 弘仁, 田口 洋一郎, 山脇 勲, 奥田 麻貴子, 小石 玲子, 野口 正皓, 山内 伸浩, 今井 一貴, 高橋 宰達, 田中 昭男, 梅田 誠
    • 雑誌名

      日本歯周病学会会誌

      巻: 59 ページ: 118-124

    • DOI

      10.2329/perio.59.118

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bioactivity of NANOZR Induced by Alkali Treatment.2017

    • 著者名/発表者名
      Nishizaki M, Komasa S, Taguchi Y, Nishizaki H, Okazaki J.
    • 雑誌名

      International Journal of Moleculer Scinence

      巻: 18 ページ: E780

    • DOI

      10.3390/ijms18040780

    • 査読あり
  • [学会発表] エムドゲイン由来合成ペプチドがヒト歯髄幹細胞の石灰化物形成能に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      嘉藤 弘仁, 田口 洋一郎, 今井 一貴, 野口 正皓, 山内 伸浩, 山脇 勲, 富永 和也, Ruan Yaru, 田中 昭男, 梅田 誠
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2017年秋季学術大会
  • [学会発表] 高グルコース環境とPorphyromonas gingivalis刺激におけるヒト骨髄間葉系細胞に対するvitamin Eの影響2017

    • 著者名/発表者名
      野口 正皓, 田口 洋一郎, 山脇 勲, 片山 暢仁, 高橋 宰達, 梅田 誠
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2017年春季学術大会
  • [学会発表] 歯周病学の未来を担う 高血糖状態が再生治療やインプラント埋入手術における硬組織形成に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      田口 洋一郎
    • 学会等名
      日本歯周病学会2017年春季学術大会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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