研究課題/領域番号 |
16K11619
|
研究機関 | 日本歯科大学東京短期大学 |
研究代表者 |
小池 麻里 日本歯科大学東京短期大学, その他部局等, 教授(移行) (00234667)
|
研究分担者 |
佐藤 勉 日本歯科大学東京短期大学, その他部局等, 教授(移行) (60130671)
堀江 哲郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10508675)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 金属粉末積層造形法 / チタン合金 / コバルト-クロム合金 / バイオフィルム / Streptcoccus mutans / Candida albicans / 細胞付着性 / 表面性状 |
研究実績の概要 |
金属粉末積層造形法は,金属製品の製造コスト削減と納期の短縮ができる技術で,CADデータから直接製品を作製することができる.つまり,金属粉末を用い,レーザービームや電子ビームを応用することで金型を使用せずに部品を作製する方法である.主に使用されている材料は,チタン合金やコバルトークロム合金などで,人工骨やインプラントなどの生体材料を作製し,医科・歯科用への応用が急速に進んでいる.粉末積層造形法を用いて作製された製品の機械的性質,腐食特性および破壊靭性についての報告は散見されているが,細胞親和性についての検討は今だ十分とは言えない.そこで本研究では,粉末積層造形法で作製した金属生体材料の細胞毒性と細胞付着性を評価し,臨床応用へ繋げることである. 金属粉末積層造形法で作製した製品の医科・歯科領域への応用を考慮すると,生体内,特に口腔内は常在細菌が多く存在するため,その一部が生体材料表面に付着・定着することが想定できる.表面に付着した細菌が菌自体産生する菌体外多糖からなる有機的生命集合体(バイオフィルム)を形成・増殖し始める.菌種によっては,難治性の重症感染症の原因ともなり得るため,細胞付着特性の評価は重要である. 粉末積層造形用材料は,チタン合金とコバルトークロム合金を用い,同じ合金で鋳造した試料および対照試料のテフロンと比較した.各試料をStreptococcus mutans,または,Candida albicansを含有した培地中に,それぞれ37度,4時間の嫌気性環境下と37度,24時間の好気性環境下に浸漬し,試料表面への細菌の付着性を,走査型電子顕微鏡による観察とATP活性の測定により評価した.使用した条件では,積層造形試料の細菌の付着は鋳造試料と大きな差異は認められなかった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画では,初年度に試料作製の条件(材料の種類,大きさ,作製温度,ビーム強さ)を決定し,チタン合金やコバルトークロム合金を使用した試料の作製を依頼した.それらの試料の表面観察と試料表層の性状を白色干渉顕微鏡と走査型電子顕微鏡を用いて観察した.また,比較するために対照試料として同合金て作成した鋳造試料とテフロンを準備した. 上記の試料を用いて,3年目に予定していた口腔内細菌,Streptococcus mutans (ATCC25175)とCandida albicansを用いてチタン合金とコバルトークロム合金を用いて作製した積層造形試料表面への付着性を走査型電子顕微鏡による観察とATP活性の測定により評価した.その結果,培養に使用した条件下では,使用合金と表面性状により,口腔内細菌の付着性に差異が認められた. 細菌の付着性の測定と同時に,2年目に予定していた細胞毒性については,現在,Balb/c 3T3細胞を購入し,増殖中で,今年度の実験に向けて準備をしている.
|
今後の研究の推進方策 |
2年目に予定していた細胞毒性については,現在,Balb/c 3T3細胞を購入し,増殖中である.最終年度である今年度に細胞毒性評価試験に向けて準備をしている.現段階において,計画は予定通りに遂行していくと予想される.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理 由) 実験に使用する試料作製費や消耗品購入に要する金額は,実験計画の予定が2年目と3年目が入れ替わってしまっているため,3年目の細胞毒性試験に予算が必要であったことから,最終年度に,実験の進行に合わせて消費していく予定にしている. (使用計画) 最終年度の実験計画に必要な試料作製費と消耗品購入に充当する.
|