研究課題/領域番号 |
16K11627
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
重本 修伺 鶴見大学, 歯学部, 講師 (20294704)
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研究分担者 |
田島 登誉子 徳島大学, 病院, 助教 (80335801) [辞退]
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
重田 優子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40367298)
平林 里大 鶴見大学, 歯学部, 助教 (40514394)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯科用CAD/CAM化 / 顎運動 / 咬合可視 / 運動論的咬合採得 |
研究実績の概要 |
1.被験者の確保:本年度は、鶴見大学歯学部附属病院補綴科を受診した患者31名(低位咬合、開口、顎関節症などを含む)をあらたに被験者として確保し、延べ34回の顎運動測定を実施した。そのうち31回はCT撮影も行った。本年度までの被験者総数は76名、測定回数は延べ90回に達した。 2.顎運動測定: 昨年度、磁気ベクトル方式顎運動測定器(試作器)の高精度データ校正方法を開発しセンサ10mm移動時の絶対誤差は0.03mm、相対誤差0.3%を実現した。この結果をうけ、共同研究を実施している企業が商用試作器を製作した。商用試作器の性能評価を行った結果、従来の試作器と同等あるいはそれ以上の性能を有していることが確認できた。現在、新たに3台の試作器の製作を開始し、多施設での臨床応用試験に向けて準備を行っている。 3.咬合高径の決定法の検討:昨年度に引き続き顎運動データを解析し、下顎回転運動範囲、すなわち下顎が主として回転運動する範囲での咬合高径を変化できる可能性について検討している。具体的には、習慣性閉口路で全運動軸点の顆路が咬頭嵌合位付近に分布する開口量を指標として咬合挙上量を決定しプロビショナルレストレーションの設計に利用している。また、全運動軸が算出できない症例では、蝶番軸を顎位決定のシミュレーションに用いる方法についても検討した。 4.顎機能異常者の基準軸の検討:上記顎運動測定結果より補綴治療を必要とする31名すべての被験者で最小運動軸(Least Motion Axis; LMA)を算出することができた。LMAが算出できるが健常者とは異なる位置に分布する場合や運動範囲の差を認めた。現在はLMAが咬合高径、咬合平面の位置、咬合接触部位、咬合小面の向きと位置との関連に加えて術前術後の機能評価への応用について検討している。 5.研究成果発表:上記研究成果を論文(和文1編、英文3編)および国内学会(9演題)にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では研究期間内に50名以上の被験者を確保する予定であったが、3年目までで76名の被験者を確保できている。また、得られた機能情報である顎運動データとCTやスキャナの形態情報を統合し,実際の臨床において治療下顎位の妥当性の検討,顎機能評価,治療時期の決定や補綴装置設計に活用できている。また、現在研究に使用している顎運動測定器の実用化研究も試作器の性能評価の段階にあり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を継続発展させ、顎運動データおよび3次元スキャナあるいはCTによる歯列、顎骨の形態データの蓄積を行い、機能情報から歯科医師や歯科技工士の経験や勘に頼っていた補綴装置の設計や咬合面形態の製作に必須の情報(咬合高径、咬合平面の位置、咬合面形態など)の数値化を目指す。また、現在研究に使用している顎運動測定器の実用化研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に研究成果発表のため国際学会で発表と国際誌への投稿を予定し投稿のための費用と外国旅費を計上していたが、当初予定していた計画どおり実施できなかったため次年度使用額が生じた。 使用計画:必要な器材、ソフトウエアなどの物品費、および研究成果発表のための外国旅費(Amsterdam)および国際誌への研究成果投稿料などへの使用を予定している。
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