研究課題/領域番号 |
16K11631
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鬼原 英道 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20431926)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨補填材 / 生体微量金属 / ハイドロキシアパタイト / コラーゲン / 細胞培養 |
研究実績の概要 |
(1)アパタイト(Hap)と生体微量金属であるマクシネシウム、および亜鉛を配合した骨補填材の製作するにあたり使用する材料に以下の変更点を加えた.純Mgと亜鉛の使用は空気中での発火等の危険性があるため酸化マグネシウム(MgO)と酸化亜鉛(ZnO)を使用した.そして,今回2種類の複合体材料を試作した.複合体材料Aでは、マイクロ径アパタイト(M-Hap),MgOとZnOを混合,ニュートンプレスして試作骨補填材とした.複合体材料Bでは,M-Hap,MgO,ZnOにブタⅠ型コラーゲン(COL)を追加し,ニュートンプレスして試作骨補填材とした.M-HAPの使用は経済性に依る. (2)複合体材料A:M-Hapを母材としMgO,ZnOの比率を変化させた材料を製作した.ここでは3材料を混合した複合体を製作した過程を表記する.順に90%(0.6 g),5%(0.03g),5%(0.03g)と計量、磁乳鉢にて混和,その後ニュートンプレス機にて3t2分間の両方向性加圧を行うことにより,粉末をタブレットに圧縮成形,直径6mm×厚さ1mmの試料とした.同様の操作を複数回行い,材料の比率の違う複合体材料を12種類製作した. 複合体材料B:COLを母材とし,ナノアパタイト(N-Hap)のみ,MgOのみ,ZnOのみ,3材料混和の4種類を製作した.以下3材料混和複合体材料の製作過程を表記する.3材料を各0.5 g計量,中和したI型コラーゲン(42ml)に混練し,-80℃ 3時間の予備凍結後,12時間凍結乾燥した.複合体材料Bと同様に成型し直径6mm×厚さ1mmの試料とした. (3)現在、適正細胞の選択、使用アッセイの模索中であり、次年度以降において引き続き細胞培養実験と動物実験を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の平成28年度中に、ハイドロキシアパタイトと生体微量金属であるマグネシウム、および亜鉛を配合した骨補填材の製作。さらに細胞培養を行い、材料の骨形成能の確認および骨分化マーカーの観察を行うところまでを予定していた。より良い試料の製作のために、多くのマグネシウム化合物および酸化亜鉛の選定、およびハイドロキシアパタイトの選定、そしてそれらの比率を変えながら予備実験を行った。その結果、良好な生体微量元素含有ハイドロキシアパタイトの製作に成功した。我々は、さらにⅠ型コラーゲンを適合し、骨芽細胞の接着の向上を誘導する補填材料も同時に製作中である。結果的に材料の配合および製作に大幅に時間を費やす結果となり、細胞培養に取り掛かる時期に遅延が生じた。現在は、使用する適正適正細胞の選択、使用アッセイの予備実験中であり、引き続き細胞培養実験を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、生体微量元素含有ハイドロキシアパタイトの生成、および製作した生体微量金属含有骨補填材上に骨芽細胞の培養実験を行う予定である。また、同時に骨前句細胞および前骨芽細胞での培養実験の検討も視野に入れている。骨芽細胞の培養では、オステオカルシン、およびⅠ型コラーゲンの同定を行う。前骨芽細胞では、Ⅰ型コラーゲン、アルカリフォスファターゼ、オステオポンチンの同定を予定している。細胞培養実験により、良好な結果が得られれば、即座にラットを使用した動物実験を計画している。ラットの頭蓋骨欠損モデルを使用する。治癒期間を4週、8週でのMicro-CT撮影、その後にパラフィン切片、もしくは非脱灰切片の作成を行う。パラフィン切片は、必要があれば凍結切片に変更し、免疫組織化学的手法を用いて評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
より良い試料の製作のために、多くのマグネシウム化合物および酸化亜鉛の選定、およびハイドロキシアパタイトの選定、そしてそれらの比率を変えながら予備実験を行った。その結果、良好な生体微量元素含有ハイドロキシアパタイトの製作に成功した。我々は、さらにⅠ型コラーゲンを適合し、骨芽細胞の接着の向上を誘導する補填材料も同時に製作中である。結果的に材料の配合および製作に大幅に時間を費やす結果となり、初年度予定していた細胞培養に取り掛かる時期に遅延が生じたために、細胞培養にかかる費用が次年度に持ち越しになった。
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次年度使用額の使用計画 |
生体微量元素含有ハイドロキシアパタイトの生成、および製作した生体微量金属含有骨補填材上に骨芽細胞の培養実験を行う予定である。また、同時に骨前句細胞および前骨芽細胞での培養実験の検討も視野に入れている。骨芽細胞の培養では、オステオカルシン、およびⅠ型コラーゲンの同定を行う。前骨芽細胞では、Ⅰ型コラーゲン、アルカリフォスファターゼ、オステオポンチンの同定を予定している。細胞培養実験により、良好な結果が得られれば、即座にラットを使用した動物実験を計画している。ラットの頭蓋骨欠損モデルを使用する。治癒期間を4週、8週でのMicro-CT撮影、その後にパラフィン切片、もしくは非脱灰切片の作成を行う。パラフィン切片は、必要があれば凍結切片に変更し、免疫組織化学的手法を用いて評価する予定である。
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