研究課題/領域番号 |
16K11631
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鬼原 英道 岩手医科大学, 歯学部, 特任教授 (20431926)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Nano-Hydroxyapatite / 酸化マグネシウム / 酸化亜鉛 / 骨新生 / 親水処理 |
研究実績の概要 |
昨年度より新規再製作を行ったNano-Haydroxyapatite(以下N-Hap)と酸化マグネシウムと酸化亜鉛の試料が骨芽細胞培養で良好な結果が得られたために、同材料を行って動物実験を行った。動物実験では、ラット頭蓋骨に直径5ミリの骨欠損を2つ作成し、同部位に配合比のことなる試料を填入した。Group1は、N-Hapとコラーゲンの複合体で金属は含有しないもの、Group2は、酸化マグネシウムとコラーゲン、Group3は、酸化亜鉛とコラーゲン、Group4は、N-Hapと酸化マグネシウムと酸化亜鉛とコラーゲンの複合体という4つの群を作成した。治癒期間は1カ月とし、その後屠殺を行い、頭蓋骨を採取しパラフォルムアルデヒドで固定を行った。EDTAにて脱灰後に頭蓋骨の切片を作成し、H-E染色で骨再生の状況を確認した。 Group1のN-Hapとコラーゲンだけでは、骨膜からの圧排で試料は押しつぶされたようであった。また、新生骨は、骨欠損辺縁のみであり、中央に向かって骨は少なくなっていた。Group2、Group3も同様であり、新生骨量はGroup1と大きな差は認められなかった。しかしながら、Group3の骨梁は、Group1、2と比べて成熟しているものが多く、骨芽細胞の分化に関与している可能性があった。この点に関しては、さらに細胞を使用した基礎実験を追加おり、酸化マグネシウムと骨芽細胞の分化にかかわるオステオカルシンや骨シアロタンパクの同定を行っている。Group4では、欠損中央付近まで、新生骨が確認された。骨の成熟度は、Group3と変わらないようであった。現在この材料に適合する親水処理を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度、2年目に作成した試料で細胞培養実験および動物実験で良い結果を得ることができず、昨年度よりあらたに試料を新規開発した。そのためにやや遅れている結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度作成した試料をもとに、その試料の親水処理を行い各種の実験に用いる予定である。当初は紫外線による表面性状の親水化を考えていたが、プラズマ処理による親水化を考えている。プラズマ処理には、真空プラズマ,水中プラズマ,大気圧プラズマ発生装置などに区分される。しかしながら,真空プラズマはチャンバー内を真空にするため装置が大きく,また水中プラズマは試料を液中に浸漬させる必要があり、資料が浸水してしまい今回の実験には使用できない。そこで,本研究では乾式で使用できる大気圧プラズマ照射装置に注目した。大気圧プラズマ照射装置で親水処理した試料で、骨芽細胞の石灰化度の細胞培養研究およびラットの頭蓋骨を使用した動物実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度および2年目に製作した試料の結果が良くなかったために、新たな試料を製作した。その結果、実験がやや遅れ追加動物実験が行えなかったため、動物実験のラットと試薬を購入できなかった。 H31年度は、ラットを使用した追加の動物実験を行う予定であり、その際のラットの購入および試薬に使用する予定である。
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