本研究は、骨伝導性および吸収性を有するNano-Hydroxyapatite(N-Hap)と生体微量金属を使用し、さらにその作製した人工骨に親水処理をおこなうことにより、今までよりも早期な回復を可能とする人工代用骨の開発を目的とした。 N-Hapと酸化マグネシウム(MgO)および酸化亜鉛(ZnO)を使用した.そして,2種類の複合体材料を試作した.複合体材料Aでは、N-Hap,MgOとZnOを混合,ニュートンプレスして試作骨補填材とした.複合体材料Bでは,N-Hap,MgO,ZnOにブタⅠ型コラーゲン(COL)を追加した。複合体材料A:M-Hapを母材としMgO,ZnOの比率を変化させた材料を製作した.複合体材料B:COLを母材とし,ナノアパタイト(N-Hap)のみ,MgOのみ,ZnOのみ,3材料混和の4種類を製作した. 細胞培養実験の結果を考慮し、雄性Wistarラットを使用し動物実験を行った。頭蓋骨に直径5mmのトレフィンバーを用いて骨欠損を作成し、n-HAP / Col/Mg複合体およびマグネシウムを含有しないn-HAP / Colを適応し,一カ月後に屠殺を行った.1か月後にCO2ガスによって屠殺を行い,パラフィン包埋を行った.切片は厚さ5μmに薄切し,H-E染色を行った.動物実験の結果より,Mg含有n-HAP / Colは,骨新生に大きく関与している可能性が示唆された.しかしながら,骨の成熟度が不十分であることから,分化促進作用は少ないと考えられた.この結果は、日本口腔インプラント学会第39回 関東・甲信越支部学術大会で報告された。その後、作製したMg含有n-HAP / Colに大気圧プラズマ処理の表面性状改善を行い、動物実験の追加実験を行っている。今後、これらの結果を追加学会発表、および論文報告していく予定である。
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