研究課題/領域番号 |
16K11639
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
堀 雅晴 朝日大学, 歯学部, 助教 (70528075)
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研究分担者 |
奥山 克史 朝日大学, 歯学部, 講師 (00322818)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70513670)
吉田 隆一 朝日大学, 歯学部, 教授 (80102127)
玉置 幸道 朝日大学, 歯学部, 教授 (80197566)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ケイ酸カルシウム / MTA / 覆髄材 / 歯科用石膏 / 生体親和性 / コストパフォーマンス |
研究実績の概要 |
本年度は合成したケイ酸カルシウムの歯科用セメントとしての物性検討と細胞培養系を用いた評価を行った。 合成ケイ酸カルシウムをセメントとして使用するにあたり硬化材として歯科用α-石膏を添加し各セメントの石膏配合比と混水比を以下のように設定した。ケイ酸カルシウム粉末のみを純水で練和するS群、ケイ酸カルシウム粉末に,純度100%硬質石膏を重量比3:1で添加したものをA群,2:1で添加したものをB群、3:2で添加したものをC群とした。比較対照にはMTAを用い、M群とした。さらに、各群の混水比を0.4と0.5の条件で検討した。これらのセメントの圧縮強さを測定したところ、S群と比較して、A,B,C群は石膏の添加量に依存して圧縮強さが有意に向上し、とくに石膏添加量を増やしたB群とC群ではMTAとほぼ同等の圧縮強さが示された。次いで、これらのセメントを培地に浸漬し、セメントからの溶出物を含む培地を作製して歯髄由来幹細胞を培養し、セメントの細胞親和性を評価した。石膏添加型ケイ酸カルシウムセメントからの溶出物は培地のpHを上昇させたが、石膏添加量の調節によりpHの上昇を抑えることが可能であった。そして、石膏添加型ケイ酸カルシウムセメントからの溶出物は細胞毒性を示さず、細胞増殖抑制作用も石膏添加量の調節により改善した。以上より、石膏添加量を調節することで硬化時間及び圧縮強さが改善したことから、操作性を調節することが可能と考えられた。また、細胞親和性についても石膏の添加により培地のpH上昇が抑えられ、細胞増殖を阻害しない親和性に優れたケイ酸カルシウムセメントを作製可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯科用α-石膏の添加量を調節することで、セメント溶出物を含む培地のpH上昇を抑えられ、歯髄由来幹細胞の増殖を抑制しなかったことから、歯科用セメントとしての応用の可能性に見通しを得たため、次年度は細胞培養系で、さらに詳細な細胞応答の検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果をふまえ、石膏添加型ケイ酸カルシウムセメントCAの有用性についてさらに解析を進めるために当初の計画通り以下のように研究を進める。 (1)細胞増殖に対する試作セメントの作用の検討として、昨年度に引き続き歯髄由来幹細胞(hDPSC)を用いるが、さらに骨髄由来幹細胞(hBMSC)や歯肉線維芽細胞を培養し、細胞増殖について経時的に検討する。比較対照はMTAセメントおよび水酸化カルシウム製剤を用いる。 (2)セメントの分化誘導能の検討として、(1)と同様にhDPSCやhBMSC、歯肉線維芽細胞を培養し、RNAを調整して逆転写反応、リアルタイムPCR法にて骨芽細胞、象牙芽細胞のマーカー遺伝子の発現レベルを検討し分化誘導能の有無を検討する。 以上の計画を遂行して基礎的知見の集積を行う。
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