研究課題
試薬炭酸カルシウム(CaCO3)と市販珪藻土(SiO2)から電気炉での焼成によりケイ酸カルシウムを合成し、成分同定と物性検討を行った。まず、合成後の試料を試料水平型多目的X線回折装置(XRD)により解析し、MTAを比較対照に成分同定を行った結果、水と練和後のMTAには、ケイ酸カルシウムと、水酸化カルシウムのピークが認められ、これと比較して、本研究で合成した試料でも同様の、ケイ酸カルシウムのピークが認められたことから、今回実施した合成法でケイ酸カルシウムが得られていることが確認できた。次いで、セメントとして使用する際の性質として重要な硬化時間を水との練和後に検討したが、合成ケイ酸カルシウム単体では硬化しないため、硬化材として歯科用α-石膏を添加し、セメントの圧縮強さを測定したところ、試作セメントは石膏の添加量に依存して圧縮強さが有意に向上し、MTAとほぼ同等の圧縮強さが示された。さらに、生体親和性を検討するため細胞培養系を用いた評価を行った。そのため、まず、これらのセメントを培地に浸漬し、セメントからの溶出物を含む培地を作製して歯髄由来幹細胞を培養し、セメントの細胞親和性を評価した。石膏添加型ケイ酸カルシウムセメントからの溶出物は培地のpHを上昇させたが、石膏添加量の調節によりpHの上昇を抑えることが可能であった。そして、石膏添加型ケイ酸カルシウムセメントからの溶出物は細胞毒性を示さず、細胞増殖抑制作用も石膏添加量の調節により改善した。以上より、石膏添加量を調節することで硬化時間及び圧縮強さが改善したことから、操作性を調節することが可能と考えられた。また、細胞親和性についても石膏の添加により培地のpH上昇が抑えられ、細胞増殖を阻害しない親和性に優れたケイ酸カルシウムセメントを作製可能であると考えられた。
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