研究課題/領域番号 |
16K11640
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 陽子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60432457)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 咀嚼 / ストレス / 味 / 情動 / 脳血流 / 香 |
研究実績の概要 |
持続的なストレス刺激は,自律神経系あるいは内分泌系を介して各種臓器に伝わり,それによって健康を害する事が知られている.一方で,おいしいものを食べると,ストレス発散(低減)に繋がるなどと我々はよく口にする.申請者は,「食事のおいしさ」と咀嚼時の生体反応(脳血流/体循環/咀嚼筋活動/自律神経活動/ストレスホルモン)との関連性に注目し,咀嚼によるストレス軽減効果の可能性をテーマに研究を行ってきた. 本課題は「ストレスを軽減させる食事とは何か?」を明らかにすることを目的に,1.快または不快情動を惹起させるガム咀嚼時のストレスマーカー(コルチゾール)の変化を評価,2.情動の変化が引き起こす咀嚼時の脳血流変化について,という2項目について研究を実施した. 1.について,被験者に対して”美味しい”という快情動を惹起するガムと,”美味しくない”という不快情動を惹起するガムとの2種類を被験食品に採用し,咀嚼中に分泌される唾液中に含まれるコルチゾールをELISA法により定量した.その結果,美味しいと感じるガムを咀嚼した場合は,美味しくないと感じるガム咀嚼時よりもコルチゾールが多く分泌された. 2.について,近赤外光脳機能イメージング装置を用いて,美味しいガムまたは美味しくないガム咀嚼時の前頭部脳血流(oxyHb)を記録し,時間的変化について分析を行った.その結果,oxyHbは両側半球において,咀嚼前と比較して咀嚼中は増加したが,ガム間における差はほとんどなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は当初予定した年次計画通りすすんでいる.一方で実験データの解析が一部終わっていないため,今後も引き続き行い,論文化をめざす.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,ストレス耐性と咀嚼時の生体反応との関連性,および風味への順応による咀嚼時の生体反応の変化,をテーマに進める予定である.ストレス耐性が低いヒトは食欲が増進傾向を認め,濃い味付けを好むことが知られているが,ストレス耐性は個人差があるため,本課題は先行研究と同様の手法でストレス耐性を評価することを予定している.被験者の心理社会的ストレスは,精神健康調査票を用いて評価する.客観的ストレス状態は,安静時唾液を採取し,ストレスマーカーであるコルチゾールを定量する.これらの結果を総合して,被験者を高ストレス耐性群/低ストレス耐性群に分類する. これらの被験者に対して,ストレス負荷後に快・不快情動それぞれを惹起する風味のガム咀嚼によって生じる生体反応を分析し,情動と生体反応との関連性を定量的に評価する.同時に,個人のストレス耐性がこれらの変化に影響するかについて検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,他研究費を獲得する事ができたため,必要経費を他研究費で負担することができた.そのため,次年度に持ち越した.また,購入予定であったストレス負荷用のプログラムを購入することが出来なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
ストレス負荷用のプログラムの購入に使用予定である.
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