研究実績の概要 |
高い審美性や金属アレルギーの心配がないことよりメタルフリー修復が行われてきている。歯科におけるCAD/CAMシステムの発展は目覚ましく、このCAD/CAM技術により、二ケイ酸リチウムガラスセラミックスやPolyetheretherketone(以下PEEK)材そしてコンポジットレジンなどの様々な異なる種類の材料を用いた歯冠修復物や補綴物などの複雑な加工、成形が可能となった。近年歯科においてもその需要が高まっているCAD/CAM用レジンブロックに対する試作プライマーを用いた新規レジンセメントシステムの引張接着強さの検討, およびサンドブラスト処理後の経時変化がCAD/CAM用レジンブロックとレジンセメントの接着強さに与える影響について検討を行ったところ、サンドブラスト処理後の時間経過に伴いCAD/CAM用レジンブロックの接着強さは低下することが示された。また、優れた生体適合性や機械的特性を持ち, 耐熱性や高温特性にも優れ, 化学的にも非常に安定した材料であるPEEK材はその非常に高い安定性により十分な接着は困難であるが, 歯冠修復の臨床においては確実な接着が求められる. PEEKは無機フィラーを充填し、その含有量を変化させることで機械的特性の調節が可能である。そこで本実験では, フィラー含有量を変化させた試作PEEK材のレジンセメントに対する引張 接着強さについて比較検討を行った.被着体はフィラー含有量20, 40, 50%の試作 PEEK材(トクヤマデンタル, 以下HP20, HP40, HP50) を試験対象とし、 引張接着強さを測定した.これらの結果により, PEEK材はフィラー含有量 の増加に従い, 良好な接着強さを得られることが示された。2019年度は上記2つの実験について機械的物性の評価方法の確立、また新たな歯科材料に対する組成の検討についての論文が掲載された.
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