研究実績の概要 |
体内の様々な組織に含まれる体性幹細胞を用いた再生医療が注目されているが、特に脂肪由来由来幹細胞(Adipose-Derived Stem Cells;ASCs)は上皮直下の表層に位置するため採取が低侵襲である脂肪組織中に存在しており、脂肪組織の幹細胞の含有量は骨髄に比較して約 1000 倍であるとして注目されている。また、自己の組織であることと、遺伝子導入を必要としない点にもメリットがあると考えられている。 我々はこれまでの研究で、マウス腹部皮下脂肪組織由来 ASC の骨芽細胞への分化能や、立体培養、また、ASC スフェロイドの単球・マクロファージ系細胞との共培養による立体的分化誘導と組織再生の可能性を検討し、報告してきた(Yamamoto M, Nakata H, Kuroda S. et al. Osteogenic Potential of Mouse Adipose-Derived Stem Cells Sorted for CD90 and CD105 in Vitro. Stem.Cells.Int.2014:576358.doi:10.1155/2014/576358. Hidemi Nakata, Maiko Yamamoto, Emi Okada, Tomoko Nagayama, Munemitsu Miyasaka, Shohei Kasugai, and Shinji Kuroda Osteogenic potential of adipose-derived macrospheroids cocultured with CD11b+ monocytes The International Journal of Oral & Maxillofacial Implants (JOMI) Jan. 2016 他)。また、ビスホスホネート系薬剤の単球-マクロファージ系に対する影響とその骨再生への応用に関しての検討を行ってきた。今回の研究では、前年度に引き続き、マウス頬脂肪体由来ASCと腹部皮下脂肪由来ASCを採取し、骨芽細胞への分化能や各種分化誘導刺激への応答の比較を行うと同時に、単球-マクロファージ系との相互作用を利用した骨再生の可能性を検討している。
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