研究課題/領域番号 |
16K11652
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
白方 良典 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (60359982)
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研究分担者 |
中村 利明 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (60381183)
瀬名 浩太郎 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60701117)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周組織再生療法 / シグナル分子 / 物理刺激 / 足場材 / 組織工学アプローチ / 超音波パルス波 |
研究実績の概要 |
様々な疾病により失われた組織・臓器の形態と機能を再生すべく幹細胞、足場材、および成長因子を利用する組織工学的手法を取り入れた再生療法が盛んである。近年、種々の細胞をソースとした細胞移植法が脚光を浴び一定の成果が報告されている。しかし、細胞移植法の実現には克服すべき問題点も多い。そこで、本研究では生体外から細胞移植を行わず、簡便に改変した歯周組織欠損内でシグナル分子/足場材と適切な物理刺激を応用することで最大限に宿主細胞の動員と賦活化、創傷治癒を計るいわばin situ (その場での)組織工学アプローチの有用性を検証し、低侵襲かつ効率的な生体内完結型の歯周組織再生療法として新たに臨床展開することを目的とした。まず初年度はシグナル分子として従来よりその歯周組織再生効果が報告されているエナメルマトリックスデリバテイブゲル(EMD-gel)に対し、酢酸を溶媒とすることで生体材料への吸着を向上させるEMDリキッド(EMD-L)に着目した。これまでin vivo においてはサル3度分岐部病変および2壁性骨欠損において吸収性足場材としてコラーゲンスポンジ(ACS)を用いた時、EMD-L/ACS、EMD-gel/ACS、ACSのみ、歯肉剥離掻爬術のみよりも良好な歯周組織再生を促すことを明らかとし、in vitroではEMD-Lにより牛骨ミネラル上に播種した骨髄由来間葉系幹細胞(ST-2)においてRunx2,COL1a2, OCN,ALPといった骨分化マーカーの発現を有意に上昇させることを確認した。物理刺激としては難治性の骨折等に対してその治癒期間の短縮に対し良好な効果が報告されている微弱な超音波パルス波(LIPUS)に着目し、歯周骨内欠損に対する効果を上記、シグナル分子との複合応用を踏まえ現在、イヌ歯周組織欠損を外科的に作製し評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シグナル分子の解析については予定通りに進んでいる。物理刺激としてLIPUSの中型動物、さらに歯周組織欠損に対する評価はこれまでも報告がなく、LIPUS照射の条件設定と企画性・再現性を有する前処置に時間を要している。現在、これらの課題がクリアされ次年度に向け試験を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
In vivo実験については最終的な組織学的評価までかなりの時間を要するため、観察期間中の放射線学的解析を元に、次年度以降の効率的かつ生産的な研究計画の立案を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
LIPUSを用いたIn vivo実験の開始が当初の予定よりも遅れ、実験動物および消耗品に関わる経費が本年度には計上されなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度から、本年度の結果を踏まえ試験規模を拡大するため必然的に使用経費は増額となる。
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