研究課題/領域番号 |
16K11657
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
北川 昇 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80177831)
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研究分担者 |
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
大澤 淡紅子 (奥山淡紅子) 昭和大学, 歯学部, 助教 (90585788)
磯部 明夫 昭和大学, 歯学部, 助教 (30635082)
大森 美由紀 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (20756291)
岡田 征彦 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (50756161)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インプラント / 傾斜埋入 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えた現在,インプラント治療を長期的な成功に導くためには,力学的因子が重要である。下顎遊離端欠損部にインプラントを 3 本以上埋入する場合,直線的に埋入するのではなく offset 埋入することでインプラントに加わる応力の減少が可能となると言われている。しかし,この埋入が顎骨周囲に及ぼす影響を検討した研究は少ない。申請者は,直線埋入と offset 埋入のモデルを製作し荷重負荷試験と三次元有限要素解析を行い比較・検討してきた。 そこで今回、高齢者や難症例を想定し,骨量と骨質に制限がある場合の傾斜埋入が,顎骨周囲に及ぼす影響を分析し,適切なインプラントの埋入方法を明らかにすることを本研究の目的とした。 昨年度,断念した光造形モデルの代りに,従来実施した直線配置とoffset配置のモデルと同じ素材の顎堤模型に,直線,10度,20度の3種類の模型と上部構造を準備した。このモデルにインストロン万能試験機を使用して,それぞれの荷重点に0.5 mm/min の速度で100 Nの垂直荷重を加えた。作業台とジグの間にストレインゲージを取り付け,荷重点の沈下量をインプラントの被圧変位量として計測した。各荷重部位につき,5回ずつ測定を行い,5回の平均をそのモデルの荷重部位の代表値とした。 その結果,インプラント体の舌側傾斜が大きくなるほど,頬側荷重時の被圧変位量は小さくなり,舌側荷重時の被圧変位量は大きくなった。舌側傾斜が大きくなると,インプラント体を舌側へ傾斜させる力が働き,変位量が大きくなったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度,ストップしていたデータ解析を継続して行っている。100 N垂直荷重時の実験モデルにおける,第一大臼歯相当部インプラント部の荷重部位ごとのひずみを解析した。直線配置モデル,10度傾斜モデル,20度傾斜モデルを比較した。また,全ての配置において荷重側のひずみゲージで大きな圧縮ひずみが認められた。また,実験モデルをmicro-CT撮影装置(ScanXmate-L090H,Comscantecno,Kanagawa,Japan)に固定し,管電圧90 kV,管電流10 μA,断層厚106 μmの撮影条件で,CT像の撮影を行なった。得られたCTデータから三次元有限要素解析ソフト(Mechanical Finder®,Research Center of Computational Mechanics,Tokyo,Japan)を用い,FEAモデルを作製中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はFEAによる解析を行う。FEAのメッシュ形状は,四面体要素とし,総節点数は約260,000,総要素数は約1,400,000で分割し,擬似下顎骨模型製作メーカーの公開値および,過去の研究で用いられたヤング率およびポアソン比を参考に,適切な物性値を決定し,FEAモデルを作製する予定である。インプラント体,アバットメント,上部構造はチタン製とし,インプラント体とアバットメントの間およびアバットメントと上部構造の間に一切の介在条件を設定せず,全てが連続した構造体とし,擬似皮質骨,擬似海綿骨,インプラント体,上部構造体の全ては,均質,等方性の線形弾性構造体として処理する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の疾病発病により入院・加療が必要となり,研究が一時中断した。現在快復に向かっており,今後データ解析を行う予定である。
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