研究課題/領域番号 |
16K11663
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
寺島 達夫 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (20114770)
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研究分担者 |
大井田 新一郎 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (10114745)
山越 康雄 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20182470)
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (40367305)
山本 竜司 鶴見大学, 歯学部, 学内講師 (20410053)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / 器官培養法 / 分化誘導 |
研究実績の概要 |
未分化間葉系細胞から骨、軟骨、筋、脂肪細胞などの細胞への分化誘導機構が研究され、特定の分化誘導物質や分化に必須な転写調節因子が明らかにされている。歯周組織中にも間葉系幹細胞が存在し、この細胞が歯周組織形成細胞(歯根膜細胞、セメント芽細胞、骨芽細胞)へと分化することが予想されているが、その分化誘導機構は不明のままである。本研究では、歯胚の器官培養法を用いて、歯周組織形成過程を詳細に調べ、歯周組織への分化誘導機構を明らかにし、歯周組織再生治療の基礎を確立することを目的とする。 当該年度では研究実施計画に従い、以下の研究を行った。 「1.動物実験系での歯周組織の形成」 胎生16から18日齢のICR系マウスの歯胚を背部皮下に移植した結果、歯周組織を持つ歯根の形成が認められた。歯周組織の分化した細胞の由来を明確にするためのGFP遺伝子組み換えマウスの移植実験を行う準備として、ICR系マウスとC57BL/6マウスの歯胚の各発育段階における移植実験での歯根形成の影響を調べた結果、C57BL/6マウスは約0.5日齢の歯胚の発育が遅延していることを確認した。胎生16.5から17.5日齢のC57BL/6-Tg(CAG-EGFP)マウスから摘出した歯胚を通常のC57BL/6マウス皮下に移植する実験を行い、歯周組織(セメント質、歯根膜、歯槽骨)の形成が確認できた。現在形成された歯周組織にGFPに対する免疫染色を行い、それらの細胞の由来を確認している。 「2.培養系での歯周組織の分化誘導機構の検討」 器官培養歯胚系にBMP阻害剤であるLDN193189、TGF-beta阻害剤であるSB431542、進行性骨化性線維異形成症に適用されているRapamycuinを添加濃度を変えて適用した結果、培養歯胚の形成、石灰化などに影響を与えていることが確認され、現在は実験数を増やし組織学的検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は新しい研究拠点での新たな歯胚の器官培養法の稼働のため、実験システムの再構築に時間を要してしまい、動物実験の開始が予定より遅れてしまった。その結果、当該年度では前年度から繰り越してしまった動物実験も含め、動物実験を実験計画に従い、予定通りに実施することが出来た。また、当該年度から予定していた歯胚の器官培養実験に、歯胚の分化誘導因子に対する阻害剤を適用する培養系での歯周組織の分化誘導機構の解明のための研究を開始し、歯周組織、特にセメント質形成、歯槽骨形成におよぼす分化誘導因子の影響に対する検討を開始したことにより、研究の進展がなされた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度および平成29年度の研究で得られた結果を基にして、以下の実験を行い、歯根形成におけるセメント芽細胞、歯根膜細胞、歯槽骨細胞の骨芽細胞への分化機構を検討する。 1.動物実験系での歯周組織の形成 歯胚の皮下移植実験系を用い、胎生16.5から17.5日齢のC57BL/6-Tg(CAG-EGFP)マウスから摘出した歯胚を通常のC57BL/6マウス皮下に移植する実験の実験数を増やし、歯周組織(セメント質、歯根膜歯根膜、歯槽骨)の形成細胞の由来を明確にする。 2.培養系での歯周組織の分化誘導機構の検討 器官培養歯胚系にBMP阻害剤であるLDN 123189、TGF-beta阻害剤であるSB431542、進行性骨化性線維異形成症に適用されているRapamycuinなどの添加実験の実験数を増やし、組織学的検討を行い、阻害剤の影響を明らかにする。さらに、骨系の培養細胞のグナル伝達機構を基にして、歯周組織でのセメント芽細胞と歯槽骨骨芽細胞への分化誘導機構を検討する。 本研究での器官培養法、移植動物実験および阻害剤適用実験に対する結果から、歯胚における歯周組織形成過程の分化誘導機構を明らかにすることで、歯周組織再生治療の基礎を確立することに寄与できると考えられる。
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