研究課題
未分化間葉系細胞から骨、軟骨、筋、脂肪細胞などの細胞への分化誘導機構が研究され、特定の分化誘導物質や分化に必須な転写調節因子が明らかにされている。歯周組織中にも間葉系幹細胞が存在し、この細胞が歯周組織形成細胞(歯根膜細胞、セメント芽細胞、骨芽細胞)へと分化することが予想されているが、その分化誘導機構は不明のままである。本研究では、歯胚の器官培養法を用いて、歯周組織形成過程を詳細に調べ、歯周組織への分化誘導機構を明らかにし、歯周組織再生治療の基礎を確立することを目的とする。本研究の最終年度である当該年度では平成28~29年度で得られた結果を基にして、研究計画に従い、以下の研究を行なった。「1.動物実験系での歯周組織の形成」 歯周組織に分化した細胞の由来を明確にするため、GFP遺伝子組み換えマウスの歯胚を用いた移植実験を行なった。胎生16.5から18.5日齢のC57BL/6-Tg(CAG-EGFP)マウスから摘出した歯胚を通常のC57BL/6マウス背部皮下に移植した。移植歯胚に形成された歯周組織(セメント質、歯根膜)を形成した細胞はGFP陽性で、C57BL/6-Tg(CAG-EGFP)マウス由来であることが確認できた。一方、移植歯胚の周辺部に形成された骨細胞はGFP陰性で、C57BL/6マウス由来であった。「2.培養系での歯周組織の分化誘導機構の検討」 器官培養歯胚系にBMP阻害剤であるLDN193189、TGF-beta阻害剤であるSB431542、進行性骨化性線維異形成症に適用されているRapamycuinを添加して培養した結果、LDN193189を添加群の発育は著しく抑制され、SB431542添加群ではエナメル質形成が一部阻害され、Rapamycuin添加群では形成された歯胚はやや小型化するが、エナメル質形成や象牙質の石灰化は影響を受けないことが確認された。
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