研究課題/領域番号 |
16K11664
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70350824)
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研究分担者 |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30220718)
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90329475)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 |
研究実績の概要 |
歯髄に多分化能を有する組織幹細胞が存在することが知られているが,この細胞の特性ならびに象牙芽細胞への分化機構は不明な点が多い。我々は,Gli1がマウス切歯および臼歯の発生過程において,象牙芽細胞を含む多種類の細胞へ分化するという報告(Zhao H et al., Cell Stem Cell 14:160-73, 2014;Liu Y et al., Development 142:3374-82, 2015)から,Gli1を歯髄幹細胞のマーカー遺伝子の一つとして考えている。 本年度は,Gli1陽性細胞が緑色蛍光Green Fluorescent Protein(GFP)を発するGli1-GFPトランスジェニックマウスを作出した。このマウスと癌抑制遺伝子p53をヘテロで欠失したp53+/-マウスを交配し,産仔を得たところである。また,Gli1-CreERT2マウスを作出し,Rosa26tdTomatoマウスと交配させることにより,Gli1陽性細胞のlineage tracing analysis(細胞系譜解析)を可能とするマウスを得た。 さらに,作出した2種のマウスを用い,Gli1陽性歯髄細胞の局在を検討した。4週齢Gli1-GFPトランスジェニックマウスの切歯歯髄組織に,GFP陽性細胞が存在することを確認した。この局在を同マウスの脛骨骨髄と比較したところ,歯髄組織において優位に細胞数が多いことが示された。生後1および2週齢マウスにおいて,切歯歯髄の陽性細胞数を比較したが,陽性細胞の割合に大きな差はないようであった。4週齢Gli1-CreERT2;Rosa26tdTomatoマウスにタモキシフェンを投与し,2日後に化学固定した。切歯歯髄の遠位端に赤色蛍光Tomato陽性を示すGli1の子孫細胞が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に必要な2種の遺伝子改変マウスを作出した。今後,実験に必要な頭数のマウスが得られるようになれば,さらに研究が進行すると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Gli1陽性歯髄細胞の樹立を容易にするGli1-GFP Tg; p53-/-マウスの交配を始めている。今後,このマウス切歯歯髄からFluorescence Activated Cell SorterでGFP陽性細胞を回収し,細胞株を樹立する。得られた株化細胞の未分化マーカー発現ならびに多分化能を評価する。 現在Gli1を発現している細胞がGFP蛍光を発し,一方,Gli1陽性細胞の子孫細胞がTomato蛍光を発するGli1-GFP Tg;Gli1-CreERT2/Rosa26tdTomatoマウスの作出も目指している。このマウス切歯に窩洞形成を行い,細胞系譜解析を行う予定である。。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は細胞系譜解析に用いるマウスが得られず,組織学的解析に用いる消耗品を必要としなかったため,46,000円を次年度分として繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
現在,細胞系譜解析を可能とするマウスを交配している。必要数が得られたら実験を進めるため,次年度使用額と合わせスライドガラスや抗体などの消耗品を購入する予定である。
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