研究課題/領域番号 |
16K11665
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
八上 公利 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00210211)
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研究分担者 |
中村 浩志 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00278178)
川原 一郎 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20319114)
定岡 直 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80549395)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノコラーゲン / ナノアパタイト / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 糖尿病 / 骨再生 / 骨粗鬆症 / BMP |
研究実績の概要 |
糖尿病発症の高齢ウサギを糖尿病高脂肪低カルシウム飼料で飼育し、血糖値、HbA1c、骨代謝マーカー(尿中DPD、血中オステオカルシン量、血中I型コラーゲン量)を計測した。そして大腿骨の骨密度をqCTにて測定した結果、糖尿病性骨粗鬆症モデルウサギが得られた。この糖尿病性骨粗鬆症モデルウサギの骨髄細胞より、骨芽細胞・破骨細胞共存培養系を樹立した。細胞機能の評価は、骨芽細胞はALP活性、オステオカルシン産生、Ⅰ型コラーゲン産生、および石灰化能、破骨細胞はアクチンリング形成、象牙切片吸収窩形成、TRAP活性について検証した結果、ALP活性、オステオカルシン発現の減少と、象牙質吸収窩形成、アクチンリング形成の増加が観察された。そこで、Vit Dを添加したNano-DDS-ColHB37に、この糖尿病性骨粗鬆症モデルウサギの骨髄細胞より得られた細胞を付与して培養した。その結果、BMP-2、IGF-1、RANKLmRNA発現の上昇が見られた。また、破骨細胞のトラップマークの増加が確認された。以上より、Nano-DDS-ColHB37は骨芽細胞と破骨細胞の機能を損なうことなく、正常な骨代謝基盤担体として使用可能なことが確認された。そこで、Nano-DDS-ColHB37Hによる骨造成の効果を糖尿病性骨粗鬆症モデルウサギの大腿骨に埋入して観察した。術後13か月後では骨梁構造の増加が確認された。また、非脱灰切片による免疫組織化学分析では。I型コラーゲンの増加と早期の新生骨形成、Nano-DDS-ColHB37孔内への豊富な血管新生が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画による組織解析のより最終段階に入っているので、最終年において解析が終了できる可能性があり、研究結果をまとめて論文等に公表の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
標的因子をドラッグデリバリーシステムとして付与したnano-DDS-ColHB37Hにより糖尿病性骨粗鬆症モデル動物の骨欠損部の再生を行い、骨形態計測法よび組織遺伝子学的解析により効果を判定する。すなわち、欠損部を満たすように標的因子を装備したDDS-ColHB37Hにより骨欠損部を再建し、テトラサイクリンにより骨形成状態をラベルする。再生した部分の状態を骨密度測定装置(pQCT)にて測定する。そして、非脱灰切片を作成して免疫組織化学分析、in situハイブリダイゼーションによる遺伝子発現解析を行う。得られた結果を基に、減少もしくは亢進している因子を特定し、28-30年度の細胞培養結果と合わせてDDS作成のためのデーターを再度解析する。解析は統計的仮説検定法を用いて算定する。 研究分担者、研究協力者とともに、結果の評価と問題点をまとめて口腔外科学会、骨代謝学会、口腔衛生学会、米国骨代謝学会等へ発表し、論文をまとめて専門雑誌へ発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子および抗体等の価格の低減により、予定額よりも支出が減ったため。次年度の消耗品に使用予定です。
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