研究課題/領域番号 |
16K11672
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康男 東北大学, 歯学研究科, 教育研究支援者 (50005039)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | bisphosphonate / 骨吸収抑制薬 / 副作用 / 顎骨壊死 / 炎症 / リン酸トランスポーター |
研究実績の概要 |
1.Bisphosphonate (BPs) には窒素含有BPs(N-BPs)と窒素非含有BPs(non-N-BPs)がある.N-BPsの炎症壊死作用が顎骨壊死として臨床的に大きな問題となっている.私達は,N-BPsはリン酸トランスポーターの SLC20 とSLC34を介して細胞内に取り込まれ,non-N-BPsのetidronate (Eti)とclodronate (Clo)はこれを抑制してN-BPsの炎症壊死作用を抑制する事を発見し,研究を行っている.SLC20 とSLC34 には複数のメンバーがある.Til はEti・Clo とは構造が大きく異なるnon-N-BPである.本研究では N-BPsの炎症作用に対するTilの効果を薬理学的に調べ,以下がわかった.Eti と Clo は複数のリン酸トランスポーターに非選択的に作用するが,Til は分子量の大きな N-BPs を輸送するリン酸トランスポーターのみに作用する.この成果を論文として発表した. 2.BPs と構造が類似する いくつかの phosphonocarboxylates が リン酸トランスポーターを介するN-BPsの細胞内取り込みを抑制してN-BPsの炎症壊死作用を抑制することを論文として発表した. 3.EtiとClo が痛みの伝達物質であるグルタミン酸の神経小胞内への取り込みを抑制して鎮痛効果を発揮するすることを薬理学的実験で示し,論文として発表した. 4.N-BPsによる顎骨壊死の治療と予防にEtiが有効であることを示す臨床成績を得て,論文として発表した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
私たちはnon-N-BPsの etidronateとclodronateが骨吸収抑制作用とは関連しない鎮痛効果を示すことを報告している.本科研費の研究計画には入れていなかったが,予定外の成果として,etidronateとclodronateの鎮痛作用を発揮する機序の一端を明らかにすることができた.痛みの伝達物質であるグルタミン酸の神経小胞内への取り込みに関わるトランスポーターはリン酸トランスポーターfamilyのSLC17に属することが岡山大学の森山らにより報告されている.私たちは,etidronateとclodronateが,SLC17トランスポーターを抑制して鎮痛効果を発揮するすることを薬理学的実験で示すことができた (上述研究実績3).
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今後の研究の推進方策 |
1.LPS受容体のTLR4の発現に対するN-BPsの効果 2.Phosphonocarboxylatesの骨吸収抑制作用 3.炎症性サイトカインに対するN-BPsの効果:(i) N-BPs単回投与の効果,(ii) N-BP反復投与の効果 4.N―BPsの投与方法の検討 (iontophoresisなど) 5.Etidronateとclodronateの鎮痛作用の機序の詳細
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次年度使用額が生じた理由 |
使用したマウスの数が少なくて済んだ. 学会発表はせずに,論文作成に専念した.
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次年度使用額の使用計画 |
マウスと試薬の購入の予定
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