研究課題
Bisphosphonates (BPs) は骨の破骨細胞に取り込まれて骨吸収抑制作用を発揮する.BPsには窒素含有BPs (NBPs) と窒素非含有BPs (non-NBPs) がある.NBPsの骨吸収抑制作用は極めて強い.しかし,NBPsには発熱・消化管傷害・顎骨壊死などの副作用があり,特に,難治性の顎骨壊死は歯科における深刻な課題である.私達はマウスの実験により,NBPsの炎症壊死作用が感染により増強されること,また,NBPsがリン酸トランス ポーターを介して破骨細胞以外の細胞内に取り込まれ,non-NBPs (etidronateとclodronate) はこの取り込みを抑制して炎症壊死を予防することを薬理学的実験により示した.本研究では,これまで以下を論文として発表した.(i) Non-NBPsが神経リン酸トランスポーターの抑制により鎮痛効果を示すことを薬理学的及び分子レベルで示した.(ii) NBPsと細菌成分LPSは,炎症性サイトカインIL-1・IL-1・IL-18の産生を相互に増強し,non-NBPのclodronateはこれを抑制.(iii) Non-N-BPのetidronateは,痛みの伝達物質ATPの神経小胞への取り込みに関与するリン酸トランス ポーターを抑制して強い鎮痛効果を示す.(iv) NBPs初回点滴投与後の発熱に,LPSとNBPの相互作用で産生されるIL-1が関与し,clodronateがこれを予防する.最終年度 (2019年度) においては,研究代表者のこれまでの研究成果を総説としてまとめた (薬学雑誌 2020;140:63-79).
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
薬学雑誌
巻: 140 ページ: 63-79
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