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2016 年度 実施状況報告書

脂肪組織由来幹細胞の抗炎症作用による創傷治癒促進に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K11677
研究機関東京大学

研究代表者

倉林 くみ子  東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (40586757)

研究分担者 藤原 夕子  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50466744)
疋田 温彦  東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60443397)
米永 一理  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60756774)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード脂肪由来幹細胞 / 創傷治癒 / 抗炎症作用 / ハイドロゲル
研究実績の概要

皮膚創傷モデルマウスにおけるASCの抗炎症作用の検証と創傷治癒メカニズムの探求
GFP標識C57BL/6JマウスからASCを採取し、ASC懸濁液(1.0x106~8 cells/mL)をマウス皮膚欠損に対して塗布し、フィルムドレッシングを貼付する。ASC塗布後4, 7, 10, 14日後、創閉鎖時、創閉鎖後1週間、1か月でのASCの生着状態および創傷治癒過程におけるASCの作用を二光子顕微鏡によって、ASCをGFPで、コラーゲン線維を第2次高調波発生(Second harmonic generation: SHG。コラーゲンなどの非線形光学結晶により入射波長の半分の光を発生する現象。染色不要)で観察し、ASCの分布とSHGシグナルの分布の関連を検討する。その後、マウスを犠牲死させたのち、創部の形態、創幅の計測(収縮)、新生上皮長の計測(上皮化)をおこない、ASCの局在、炎症性細胞および線維芽細胞の浸潤を組織学的、免疫組織学的に評価する。また、組織よりmRNAおよび蛋白質を採取し、炎症反応の指標であるIL1b, IL2, IL6, IL8, TNFa, MMP2, MMP8, MMP9、また肉芽形成・収縮の指標であるCOL1a1, TGFb, SMA(ACTA2)、さらに上皮化の指標であるLAMA5, FN1, COL4a2をリアルタイムRT-PCR、western blottingによって生化学的に評価をおこなう。抗炎症因子を抑制するshRNAにより発現抑制されたASCを用いて比較検討することで、ASCが創傷治癒に関与することを実証するとともに、創傷治癒の各過程におけるASCが分泌する治癒促進に効果的な因子の同定し、ASCによる治癒作用機序を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

GFP標識C57BL/6JマウスからASCを採取し、ASC懸濁液(1.0x106~8 cells/mL)をC57BL/6JHamSlc-ob/ob6週齢の雄マウスに対し、背部左右に10x10mmの全層欠損創を作製し、塗布。フィルムドレッシング(Tegaderm, 3M社)を貼付し、創縁を縫合またはドレッシングにより湿潤環境を維持する。創作製後4, 7, 10, 14日後、創閉鎖時、創閉鎖後1週間、1か月で組織採取をおこない、形態学的、組織学的、生化学的に評価をおこなっている。また、組織よりmRNAおよび蛋白質を採取し、炎症反応の指標であるIL1b, IL2, IL6, IL8, TNFa, MMP2, MMP8, MMP9、また肉芽形成・収縮の指標であるCOL1a1, TGFb, SMA(ACTA2)、さらに上皮化の指標であるLAMA5, FN1, COL4a2をリアルタイムRT-PCR、western blottingによって生化学的に評価をおこなっている。

今後の研究の推進方策

皮膚創傷モデルマウスにおけるASCのデリバリーの違いによる創傷治癒効果の比較検証する。ASCの創傷治癒過程における作用機序を基に、ASCの至適投与数、投与のタイミングを確立する。実際の臨床の場において、特に口腔内に広範に症状を呈す難治性口内炎に対して、フィルムでドレスし続けることが困難であるため、ASCを創部に一定時間保持でき、創傷治癒に促進的に働く因子を徐放させることで効率的に治癒させる必要がある。そこで、これまでいくつかの報告がなされ、実績のあるヒアルロン1.0x106~8 cells/mLの酸、アテロコラーゲン、PuraMatrixといったデリバリー剤に注目し、これらにASCを混和させることによって、創部への作用・効果を比較検証するとともに、最適なデリバリー剤を決定する。コントロール群として、テガダーム(3M)既成の創傷被覆材を用いる。
1.0x106~8 cells/mLのGFP標識C57BL/6Jマウス由来ASCおよび抗炎症因子を各デリバリー剤と混和したのち、創部に塗布する。ASC塗布後1, 4, 7, 10, 14日後、創閉鎖時、創閉鎖後1週間、1か月でのASCの生着・生存状態および創傷治癒過程におけるASCの作用を2光子顕微鏡によって、組織形態学的に評価をおこなう。その後、マウスを犠牲死させたのち、創部の形態、創幅の計測(収縮)、新生上皮長の計測(上皮化)をおこない、ASCの局在、炎症性細胞および線維芽細胞の浸潤を組織学的、免疫組織学的に評価する。また、組織よりmRNAおよび蛋白質を採取し、炎症反応の指標であるIL1b, IL2, IL6, IL8, TNFa, MMP2, MMP8, MMP9、また肉芽形成・収縮の指標であるCOL1a1, TGFb, SMA(ACTA2)、さらに上皮化の指標であるLAMA5, FN1, COL4a2をリアルタイムRT-PCR、western blottingによって生化学的に評価をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の主な研究内容は、ASCの生着状態および創傷治癒過程におけるASCの作用を二光子顕微鏡によって、ASCをGFPで、コラーゲン線維を第2次高調波発生(Second harmonic generation: SHG。コラーゲンなどの非線形光学結晶により入射波長の半分の光を発生する現象。染色不要)で観察し、ASCの分布とSHGシグナルの分布の関連を検討している。
二光子顕微鏡に関しては、すでに東京大学附属病院東研究棟地下1階 再生組織形態解析センターに有しているが、使用は今回初めてであったため、まずはrealtimePCR,wester mblottinngに必要な、抗体および実験器具は概ね前回の研究の残っているものから試実験していたため、使用経費が抑えられ、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

実験に遜色ない二光子顕微鏡のスキルが身につけば計画書通り、IL1b, IL2, IL6, IL8, TNFa, MMP2, MMP8, MMP9、また肉芽形成・収縮の指標であるCOL1a1, TGFb, SMA(ACTA2)、さらに上皮化の指標であるLAMA5, FN1, COL4a2の抗体を用いて、各々生化学的に評価をおこなう予定です。

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公開日: 2018-01-16  

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