研究課題/領域番号 |
16K11680
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池田 順行 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70419282)
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研究分担者 |
高木 律男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143795)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 顎関節 / 顎関節症 / 滑膜組織 |
研究実績の概要 |
顎関節症患者の疼痛は、滑膜表層に神経終末が存在しないため、周囲組織への機械的侵害刺激が疼痛の原因であると考えられてきた。しかし、臨床の現場において、顎関節腔洗浄療法などで滑膜組織の炎症を抑えることで、疼痛が消失することがあり、顎関節症患者の疼痛に、滑膜組織の変化や滑膜組織から深部の神経終末に疼痛伝達を行う物質などが存在していること推測される。本研究の目的は、顎関節症患者の滑膜組織の変化を明らかにし、疼痛伝達物質などの存在を見つけ、顎関節症患者の疼痛の本質をつかむことである。 これまでの研究で、ラットにおいてはいわゆる正常顎関節の構造は生後30日あたりで完成されることを見出してきた。さらに、この時期の滑膜表層細胞は重層化し、一部は免疫組織化学的に細胞修復蛋白であるHsp25陽性を示し、さらに基底膜細胞が有するラミニン蛋白を細胞膜に有していることが明らかとなり、微細構造学的には豊富な粗面小胞体と分泌顆粒を細胞質に有していることが明らかとなった。またこれとは別に、偽足用突起を有する貪食様細胞が滑膜表層のわずか深部に存在し、これら2種の細胞が層構造を形成していることが明らかとなった。 過大開口による異常顎関節モデルの滑膜組織においては、予想に反し正常滑膜組織と組織学的な差は当初見いだせなかったが、その後、過大開口の頻度を増やす試みを行ったところ、異常顎関節モデルでは若干ではあるが滑膜細胞層の重層化が増した組織学的変化が認められた。今後は、疼痛伝達物質である神経ペプチドなどの存在を見出していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想に反し、正常顎関節滑膜組織と過大開口で作成した異常顎関節モデルの顎関節滑膜組織と間に当初組織学的な差が見いだせず、差が認められるレベルの異常顎関節モデルの作成に時間を費やしたため若干の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
正常顎関節滑膜組織と異常顎関節モデルの滑膜祖組織の差はわずかであるが、疼痛伝達物質などの出現や増加している可能性があるため、疼痛伝達物質である神経ペプチドなどの検索を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
正常顎関節滑膜組織と差が認められるレベルの異常顎関節モデルの作成に時間を費やしたため若干の遅れが生じたため、資料収集や組織標本の比較分析にかかる費用は次年度に繰り越し使用していく予定である。
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