研究課題/領域番号 |
16K11682
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
相川 友直 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00362674)
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研究分担者 |
宮川 和晃 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50635381)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | RANKL / TGF-b / 顎骨腫瘍 / 骨吸収 |
研究実績の概要 |
本研究では、顎骨腫瘍による骨破壊や骨吸収の分子メカニズム明らかにするために、顎骨腫瘍細胞と病変間質線維芽細胞の相互作用に焦点をあてた。特に、腫瘍上皮細胞が産生するサイトカインによる間質線維芽細胞の破骨細胞活性化因子RANKLの発現調節機構と破骨細胞活性化機序を解析している。さらに、口腔がんの骨浸潤における腫瘍間質線維芽細胞の RANKL 発現やがん細胞の RANKL 発現の意義と発現制御機序を解析することで、普遍的な腫瘍-腫瘍間質-骨破壊の分子機序の研究へと発展させることを目的とした。 本年度は顎骨腫瘍の骨吸収において、1)腫瘍でのサイトカイン発現、特にTGF-betaとIL-1alphaの発現と間質線維芽細胞でのRANKL発現を免疫組織染色で確認した。2)TGF-bとIL-1aは顎骨腫瘍由来間質線維芽細胞のRANKL発現を誘導し、両因子は相乗作用があることを確認した。3)TGF-bはIL-1aによる間質線維芽細胞のNF-kBシグナルを活性化を増強させたが、IL-1aはTGF-bシグナル伝達の活性化には影響しなかった。TGF-bは間質線維芽細胞のRANKL遺伝子発現を直接促進した。4)ヒトRANKL遺伝子のプロモーター領域を含む種々の長さのレポーターアッセイ用のコンストラクトを構築し、細胞内でレポーターアッセイができることを確認した。5)マウス口腔扁平上皮癌細胞株から二つの亜株を樹立し、マウス骨浸潤マウスモデルを作成した。一方は、著名な破骨細胞形成と骨破壊をきたし、一方は破骨細胞誘導と骨破壊に乏しい細胞株であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度以降に予定していた、口腔がんの骨浸潤での骨吸収、骨破壊の研究のための、時間のかかる動物実験モデルの作成に本年度より取り掛かかった。マウス口腔がん由来細胞株から二つの亜株を樹立し、一つは著しい破骨細胞誘導を伴う著しい骨破壊をきたす亜株、もう一つは破骨細胞誘導を伴わず、骨破壊、骨吸収程度の低い亜株である。この二つの細胞を用いた in vivo マウス骨破壊モデルと in vitro の実験系を作成することができた。 顎骨腫瘍由来間質線維芽細胞を用いたRANKL遺伝子転写機序の解析を行える準備も行えた。したがって、全体的には、概ね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
RNAKL遺伝子の発現調節の分子機序の解析、①臨床検体から分離した、腫瘍細胞、間質線維芽細胞を用いて、サイトカイン刺激によるRANKL遺伝子のプロモーター領域解析、②サイトカインシグナルの相互作用の解析、その下流因子の局在を in vitro では生化学的に、組織学的には免疫染色で病変内で、腫瘍-間質-RANKL発現部位-破骨細胞形成部位でどのサイトカインが作用しているかを検討する。最終的な目的分子であるRANKL発現の局在と併せてその組織内シグナル伝達の妥当性を検討する。 口腔がんによる顎骨吸収機序と顎骨腫瘍・嚢胞による骨吸収機序の違いは、組織学的な検討と、顎骨浸潤マウスモデルを用いて差異と共通点を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の残余金であり、必要な物品を購入するには不足していたため、残余となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費として使用させていただく予定です。
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