研究課題/領域番号 |
16K11683
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻 忠孝 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50527231)
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研究分担者 |
田中 晋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00367541)
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (20205371)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 咀嚼筋 / 筋電図解析 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンの変性・消失を生じる難病であり、進行することで嚥下障害を引き起こし、経口摂取困難となり、経管栄養を強いられる。近年、ALSモデルマウスを用いて多くの研究がなされてきたが、摂食制御機構、つまり、どのように咀嚼や食べ方が経時的に障害されていくのか、報告はほとんどない。また、加齢にともない咀嚼筋の萎縮が生じ、咀嚼パターンが変化する。先行研究より、ラット脳室内に摂食促進ペプチドを投与することで咀嚼筋筋活動特性の変化を伴い、「早食い」に類似した食行動パターンを引き起こすこと、匂い刺激にて摂食関連ペプチドの発現を変化させることで咀嚼筋活動パターンが変化することを明らかとした。今年度は、ALSモデルマウスの購入や遺伝子組換え実験の承認に時間を要したため、老齢ラットを用いて、人工的に筋萎縮モデルを作製し、咀嚼筋活動の経時的な変化を検討した。咬筋切断後2週間、1ヵ月、2ヵ月の時点で摂食行動実験を行い、切断前と比較した。切断後2週間の時点で摂食率は最も低下し、徐々に回復するも、2ヵ月の時点でも切断前より低値であった。また、boutは、途切れることのない単一の摂食と定義されているが、そのdurationは、咬筋切断後2ヵ月経過しても、術前に比べ、延長したままであった。また、筋電図学的にも、切断後に、有意に咬筋の筋活動量が低下しており、徐々に回復していくことが確認できた。今後、老齢ラットの咬筋の筋萎縮モデルの回復過程をALSのような経時的に筋活動が低下していくモデルと比較検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスB6SJL-Tg(SOD1*G93A)1Gur/JとB6SJL-Tg(SOD1)2Gur/J(control)を使用予定であるが、遺伝子組換え実験の承認ならびにモデルマウス購入に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関わる摂食制御機構を解明する目的で、ALSモデルマウスを用いて、行動生理学的手法にて検討する。今年度、老齢ラットで得られたデータとも比較検討する予定である。 実験1.摂食行動・味覚嗜好性が経時的に変化していくのか 昼間と夜間の2時間の摂食行動をビデオ撮影にて記録する。 水とシュクロース溶液などの甘味溶液の2瓶選択実験にて味覚嗜好性を評価する。 実験2.咀嚼筋筋電図活動を指標に、末梢の咀嚼リズムがどのように形成されているのか 三種混合麻酔薬、腹腔内投与下にて、マウスの咬筋に針電極を留置し、摂食時の咬筋活動を記録する。
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次年度使用額が生じた理由 |
筋萎縮性側索硬化症モデルマウスB6SJL-Tg(SOD1*G93A)1Gur/JとB6SJL-Tg(SOD1)2Gur/J(control)の購入ならびに遺伝子組換え実験の承認に時間を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通り、ALSモデルマウスを用いて研究を行う。
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