研究課題/領域番号 |
16K11683
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻 忠孝 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50527231)
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研究分担者 |
田中 晋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00367541)
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (20205371)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 咀嚼筋 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動ニューロンの変性・消失を生じる難病であり,進行することで嚥下障害を引き起こし,経口摂取困難となり,経管栄養を強いられる.近年,ALSモデルマウスを用いて多くの研究がなされてきたが,摂食制御機構,つまり,どのように咀嚼や食べ方が経時的に障害されていくのか,報告はほとんどない.ALSモデル(B6SJL-Tg(SOD1*G93A)1Gur/J)マウス群の4時間の累積摂食量は,日中に比較して夜間に有意に(Daytime:0.71±0.02g,Nighttime:1.00±0.11g)多かった.対象群であるB6SJL-Tg(SOD1)2Gur/Jマウス群においても4時間の累積摂食量は,日中に比較して夜間に有意に(Daytime:0.54±0.04g,Nighttime:0.83±0.03g)多かった.2群間では,B6SJL-Tg(SOD1*G93A)1Gur/J群の方がB6SJL-Tg(SOD1)2Gur/J群と比較し,日中も夜間も摂食量は多い傾向にあった.B6SJL-Tg(SOD1*G93A)1Gur/Jマウスの体重は,実験開始から徐々に増加していったが,40-60日目をピークに体重が減少していき,実験開始70日前後で下肢の運動障害が顕著となり歩行困難となった.下肢の運動障害が明らかとなってからも,一日摂食量は減少することはなかったが,1週間後に摂食が困難となった.一方,B6SJL-Tg(SOD1)2Gur/Jマウスは,実験開始後70日を過ぎても,下肢の運動障害や摂食量の減少は認められなかった.当初は咀嚼筋内に筋電図電極を留置し,筋活動を記録する予定であったが,手術の侵襲が強いのか,これまでに確立された手術方法(Tsuji T et al., J Neurophysiol. 2011)を改良しても生存させることが困難であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ALSモデル(B6SJL-Tg (SOD1*G93A) 1Gur/J)マウスの摂食パターンが明らかとなったが,咀嚼筋の筋活動が記録出来なかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,実験開始後70日目以降に,上肢・下肢・咀嚼筋を含め全身から筋肉を採取し,免疫組織学的に筋委縮の程度を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
ALSモデル(B6SJL-Tg (SOD1*G93A) 1Gur/J)マウスが高額であるため,最終年度へ予算を繰り越した.
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