研究課題
(1)唾液腺癌幹細胞におけるアポトーシス抵抗性の検討唾液腺癌由来細胞株を用いて、FACS解析によりCD44high/ESAlow 細胞、CD44high/ESAhigh細胞、CD44low 細胞をそれぞれsortingした。CD44high/ESAlow細胞、CD44high/ESAhigh細胞、CD44low細胞において、AnnexinVを用いて、5-FUにより誘導されるアポトーシス細胞を検出した。その結果、CD44high/ESAlow細胞は最も高いアポトーシス抵抗性を示し、またCD44high/ESAhigh細胞のアポトーシス抵抗性は外因性のPGE2により増加した。(2)転写因子NR4A2によるアポトーシス抵抗性への影響NR4A2は口腔扁平上皮癌細胞において外因性PGE2およびEGFRからのシグナルによる制御を受け、抗癌剤抵抗性に関与することを報告した(Shigeishi et al. Cancer letters, 2011)。今回、CD44high/ESAhigh細胞におけるNR4A2発現の検討したところ、蛍光免疫染色にてNR4A2は主に核内に発現を認めた。さらに、PGE2添加によってNR4A2のmRNA発現は増加し、PKA inhibitorの添加により、NR4A2 mRNA発現は減少した。以上の結果から、CD44high/ESAhigh細胞のNR4A2の発現にはPGE2が関与していることが示唆された。今後は、この結果をふまえ、CD44high/ESAlow細胞にNR4A2 siRNA発現ベクターを遺伝子導入し、抗癌剤により誘導されるアポトーシス細胞の変化について検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
(理由)癌幹細胞形質を示す、CD44high/ESAhigh細胞のアポトーシス抵抗性には、外因性PGE2 により発現が誘導される転写因子NR4A2が関与している可能性が示唆された。
1.CD44high/ESAlow細胞におけるNR4A2の役割を明らかにするため、NR4A2 siRNA発現ベクターを遺伝子導入し、抗癌剤により誘導されるアポトーシス細胞の変化を検討する。2.NR4A2過剰発現細胞における癌幹細胞形質の検討を行う。NR4A2を過剰発現させた唾液腺癌細胞を作成し、幹細胞マーカー遺伝子の発現及びALDH1の酵素活性を解析し、癌幹細胞形質について検討する。また、FACS解析により、CD44high/ ESAlow細胞やCD44high/ESAhigh細胞の割合を検討する。
マイクロアレイ解析とNR4A2過剰発現ベクター作成を本年度は行わなかったため。
マイクロアレイ解析とNR4A2過剰発現ベクター作成を行う予定。
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