研究課題
Cowden症候群(CS)は口腔及び消化管の多発性腫瘤や皮膚病変を主症状とし,高頻度に乳がんや甲状腺がんを発症する常染色体優性遺伝性疾患であり,がん抑制遺伝 子Ptenの変異が関与している.本研究では本学倫理規定(第ヒ-72号及び第ヒ-58)に基づき同意を得られたCS患者末梢血よりPTEN遺伝子の新規変異を確認したiPS 細胞の誘導を行い,本症候群の病態解明および新規治療法の開発を目的としている.これまでにがん抑制遺伝子PTEN変異CS患者血清より採取した末梢血より疾患 特異的iPS細胞(CS-iPSC)を当施設で開発,確立したフィーダーフリー無血清培養系(hESF9)において樹立することに成功した.またMiSeq次世代シークエンサーで4813遺伝子の全エクソンをシークエンスした結果、全塩基変異カ所数は9354カ所、アミノ酸置換が示唆される変異は2751カ所、deletionは231カ所に認めた。PTEN遺伝子領域を193回シークエンスした結果、一アレル内にTのdeletion (c.1020delT)及び c.1027G>A変異を認めた。この結果、341番目のアミノ酸FがLに、さらに342番目のアミノ酸KのRへの置換が示唆され、その後にstop codonが形成されることから、PTEN蛋白はtruncationしている可能性が考えられた。さらに、MTHFR、IL4R、BRCA2、IL7R、HYDINなどの癌関連遺伝子の変異も認め、本患者の乳癌や甲状腺癌の既往が裏付けられた。同患者由来PBMCをRD6F無血清培地で初代培養後, 初期化4遺伝子を搭載したセンダイウィルスベクターで初期化を行い、無フィーダー・無血清培養系で疾患特異的iPSCを誘導した。誘導効率は0.16%と高く、in vitro及びin vivoで未分化性と多分化能を有し、PTEN蛋白の発現低下を認めた。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (15件)
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