研究課題
口腔扁平上皮癌細胞に対するウイルス療法の確立を目指し、治療効果安全性の確立されている、第三世代遺伝子組換えHSV-1(G47⊿)すなわち増殖型HSV-1ウイルスベクターを用いた治療法が応用できるのかを検討した。In vitro in vivoの実験においては、ウイルス複製能、ウイルス感染能、ウイルス殺細胞効果をスクリーニングとすることにより、OSC-19、SAS、HSC-3を用いて以下の実験を進めた。OSC-19、SAS、HSC-3はウイルス複製能、ウイルス感染能が得られる細胞種であれば、G47⊿が有効な殺細胞効果を発揮することが明らかとなった。さらに、同様の細胞を用い、舌に投与するモデルでも有効な結果を得られた。この結果は少なくとも、局所投与に当たっては、G47⊿が口腔扁平上皮癌の臨床応用に当たり、十分有効性を発揮することを示唆する結果であった。またGFP導入は腫瘍の動態を見るうえで有効な方法であると考えられる。本実験においても転移腫瘍の有効な検出手段となった。マウスモデルとして有効に機能すると考えられる。リンパ節転移腫瘍をいかに制御するかを検討することになる。ウイルスによる腫瘍免疫活性化効果を期待できると思われる。それならいかなる免疫担当細胞が関与しているかの詳細な検討を行いたい。さらにテーマである免疫チェックポイント阻害剤との併用を検討し得るモデルを作成中である。
3: やや遅れている
現所属施設においては、大学の運営上(人件費)の問題で診療スタッフの確保が難しく、申請者本人が診療に携わり、研究時間が取れない、さらに同様の理由でスタッフが確保しづらい状況にあり、人手不足で研究の進捗に支障が出てきている。しかし研究分担者の協力などで状況の改善を図りつつある。
本年4月において免疫チェックポイント阻害が頭頸部癌領域の腫瘍に適応拡大された。今後本薬剤が歯科・口腔外科領域においても使われ始め、臨床データが出てくることが予想される。その治見を得ることにより、ウイルス療法との併用療法のモデル作成に役立つことがきたいできるので、各分野での免疫チェックポイント阻害使用例の検討を追跡したい。
今年度は臨床と研究への時間、労力配分を見誤り、十分な研究に費やす時間を確保できなかった。そのため、計画通リ進まなかったが、その反省をもとに、計画を練り直しているため、挽回が可能と思われる。
昨年度の計画をそのまま今年度に費やすことにより挽回が可能である。その分今年度その計画分使用する予定である。
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Mol Cancer THer.
巻: 163 ページ: 1988-1997
10.1158/1535-7163.MCT-15-0737