研究課題/領域番号 |
16K11696
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中原 寛和 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70324796)
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研究分担者 |
古郷 幹彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (20205371)
内橋 俊大 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60757839)
藤堂 具紀 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80272566)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 扁平上皮癌 / ウイルス療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究実績の概要 |
近年、ウイルスゲノムを遺伝子工学的に改変し、癌細胞で選択的に複製するウイルスを癌治療に応用する試みがなされ、特に単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)は癌治療に適した特徴を有することがわかってきた。治療用の増殖型変異HSV-1は、癌細胞に感染すると複製し、その過程で宿主の癌細胞を死滅させる。複製したウイルスは周囲に散らばって再び癌細胞に感染し、その後複製→細胞死→感染を繰り返して抗腫瘍効果を現す。一方、正常細胞に感染した治療用ウイルスは複製せず、正常組織には害が生じない。また腫瘍内でのウイルス増殖は、特異的抗腫瘍免疫を誘導する。従って、ウイルス複製による直接的殺細胞効果と、特異的抗腫瘍免疫の惹起により、特定の治療遺伝子の発現なしに癌を治癒させることが可能で、新しい癌治療法として高いポテンシャルを有している。 一方、口腔癌は全癌の数%程度を占めており、手術を中心とした集学的治療が行われており治療の可能な癌の一つになってきた。しかしながら、口腔癌は呼吸、咀嚼・嚥下、発声、構音などの生活上で重要な機能が集中した部位で手術による機能障害は大きなQOLの低下をもたらす。そこで手術による機能障害を避け得る、新しい治療法の出現が待望されてきた。さらに、口腔癌の予後因子の一つに頚部リンパ節転移がある。局所は制御できても、リンパ節への転移を制御しなければ、完治は望めない。そこで本研究ではもう一つの目的として、ウイルス療法が転移リンパ節を制御できるかを検討することを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔扁平上皮癌細胞に対するウイルス療法の確立を目指し、まずすでに、治療効果安全性の確立されている、第三世代遺伝子組換えHSV-1(G47⊿)すなわち増殖型HSV-1ウイルスベクターを用いた治療法が応用できるのかを検討した。In vitro in vivoの実験においては、ウイルス複製能、ウイルス感染能、ウイルス殺細胞効果をスクリーニングとすることにより、OSC-19、SAS、HSC-3を用いて以下の実験を進めた。OSC-19、SAS、HSC-3はウイルス複製能、ウイルス感染能が得られる細胞種であれば、G47⊿が有効な殺細胞効果を発揮することが明らかとなった。 動物実験において免疫チェックポイント阻害剤の影響を検討するモデルを作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験において免疫チェックポイント阻害剤の影響を検討するモデルを作成中である。まずは単独で免疫チェックポイント阻害剤の効果を確認、ウイルス療法との併用治療法を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究スタッフの就業状況に変更があったため、若干の品目別使用計画と使用額に変更が生じた。しかし研究の進捗に関しては若干の遅れはあるものの進行している。
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