研究課題/領域番号 |
16K11698
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩永 賢二郎 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20448484)
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研究分担者 |
西原 達次 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80192251)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 癌 / ソノポレーション / マイクロバブル |
研究実績の概要 |
がん治療における薬剤、遺伝子の有効性を高める方法として、ナノ・マイクロスケールの運搬体を利用して病巣に選択的に薬剤を送達することを目的とするターゲティング型DDSがある。申請者は、これまで医療用に用いられる程度の出力の超音波とナノ・マイクロバブルを併用することにより、がん細胞や担がんマウスへの薬剤を導入する方法(ソノポレーション法)を改良させてきた。 頭頸部癌では、Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)が高発現している。申請者らは昨年度までに、抗EGFR抗体修飾マイクロバブルを作製し、in vitroの系で同バブルと超音波の併用でヒト歯肉扁平上皮癌細胞株Ca9-22細胞に低濃度の抗癌剤(ブレオマイシン)を導入した。コントロールとして抗体を付着していないマイクロバブル、IgG抗体付着マイクロバブルを使用した。EGFR-MBを用いたソノポレーション法では,より低濃度のBLMでも著明な癌細胞増殖抑制効果が認められ,癌細胞にアポトーシスが誘導されていることが確認できた. つぎに、Ca9-22細胞を接種した担癌マウスを作製し、抗EGFR抗体修飾マイクロバブルを用いたソノポレーション法の腫瘍に対する治療効果を評価した。低濃度のBLMとEGFR-MB,ソノポレーション法を併用した担癌マウスでは,処置後28日目において腫瘍の増殖抑制を認めた. ソノポレーション法にEGFR-MBを併用することにより,効率よく抗癌剤を導入することが可能であった.本手法は口腔癌に対する新たな特異的治療ツールとなり得る可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vivoの実験系で新規マイクロバブルを用いた抗癌剤導入による抗癌効果の増強を認めたため、進展はしている. 代表者の所属研究機関が昨年の4月から変更となり、実験環境の整備等にやや難航している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の4月から所属研究機関が九州歯科大学から東北大学に変更になり、前研究室で使用していた超音波発振装置が使えない状態。 今年度の繰越分で超音波発振装置を購入する予定。 Au,Ptナノコンポジットビーズと超音波を用いた実験系は九州歯科大学と共同で勧める予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
九州歯科大学との共同研究で、in vivoの実験系で新規マイクロバブルを用いた抗癌剤導入による抗癌効果の増強を認めたため、進展はしている。 代表者の所属研究機関変更先の東北大学では、以前使用していた超音波発振装置が使えず、また、実験環境の調整整備等に時間がかかり、次年度使用額が生じた。次年度使用額で超音波発振装置を購入する予定。その他の機器はそろっているが、前研究室の九州歯科大学と連携して研究を進める予定。
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