研究課題
がん治療における薬剤,遺伝子の有効性を高める方法として,マイクロスケールの運搬体(マイクロバブル)と低出力の超音波を用い,がん組織に選択的に薬剤,遺伝子を送達するソノポレーション法が注目されている.申請者らはこれまで,同法を用い,in vitro, in vivoの実験系で,癌細胞や担癌マウスの癌組織へ抗癌剤や癌抑制遺伝子を導入し,導入効果の増強を認め,新たな抗癌剤治療のmethodとして有用であることを示してきた.平成28~29年度は,扁平上皮癌の表面に過剰発現している上皮成長因子受容体(EGFR)に対する抗体(抗EGFR抗体)を新規マイクロバブル(帝京大学薬学部生物薬剤教室より供与)に結合させ,抗EGFR抗体修飾マイクロバブル(直径1.5μm)を開発した.同バブルを用い,抗癌剤のターゲティング型ドラッグデリバリーシステムの確立を目指した.in vitro, in vivoの実験系で癌細胞に低濃度のbleomycinを導入したところ,癌細胞への導入効果の増強を認めた(Hirabayashi F, Iwanaga K, et al. PLOS ONE, 12(9) 2017).平成30年度は,新規抗癌剤として,Ptナノコンポジットビーズ(新日鉄住金化学から供与)に着目した.Ptナノコンポジットビーズは,樹脂ビーズに対し特殊な技術によってPtを付与した新規金属ナノ粒子材料で,表面に抗体などの癌指向性を付与できる.Ptナノコンポジットビーズを,in vitro, in vivoの実験系で,癌細胞および担癌マウスの癌組織に導入したところ,導入群で著明な抗腫瘍効果を認めた(Tanaka M, Iwanaga K et al. J Biomed Mater Res B Appl Biomater. 2019).
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
J Biomed Mater Res B Appl Biomater
巻: 9999B ページ: 1-7
10.1002/jbm.b.34320
Cell Biology International
巻: 42 ページ: 1622-1631
10.1002/cbin.11058