研究課題/領域番号 |
16K11699
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
依田 哲也 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60242210)
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研究分担者 |
佐藤 毅 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60406494)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 咀嚼筋腱・腱膜過形成症 / CRYBA4 / エストロゲン / 腱分化 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き、組織サンプルについては、手術により採取した咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の側頭筋腱と咬筋腱膜を実験群とし、顎変形症患者の側頭筋腱を対照群として症例を集め、-80℃にて保存した。同様に血液サンプルについても、咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者から採取したものを実験群、顎変形症患者あるいは炎症のない抜歯患者あるいは顎骨嚢胞摘出術を受けた患者から採取したものを対照群として症例を集め、-80℃にて保存した。現在、咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者2例の組織および血液サンプルを収集できている。組織サンプルはタンパク質の網羅的解析を、さらに、血液サンプルはアネキシンA5が咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者で検出されるかどうかを検討する。 以前申請者らが咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の腱組織サンプルで発現が高いことを見出したCRYBA4タンパク質の遺伝子であるCRYBA4を、マウス腱細胞株であるTT-D6細胞に遺伝子導入して腱の分化マーカーの遺伝子発現およびタンパク質発現を調べたところ、Tenomodulin発現は変化なかったが、Scleraxis発現は抑制されていた。また、咀嚼筋腱・腱膜過形成症は女性に多いことからエストロゲンを作用させることで腱細胞の分化にどのような影響を与えるかを調べたところ、エストロゲンによりScleraxisおよびTenomodulin発現は上昇した。さらに、腱細胞に対して引張力のメカニカルストレスを与えるとCRYBA4発現が上昇した。以上の結果を論文にして投稿し受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腱細胞におけるCRYBA4とエストロゲンに関する解析とメカニカルストレスの腱細胞に対する解析についてすすめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
症例については引き続き収集する。今後、咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者と顎変形症患者の腱組織の検体について、次世代シーケンサーを用いて遺伝子網羅的発現解析をすすめる。また、サル腱細胞に対するメカニカルストレス負荷の実験について次世代シーケンサーを用いて遺伝子網羅的発現解析をすすめる。血液サンプルを用いて、血中アネキシンA5のタンパク質の検出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
生化学関係の消耗品が必要と見込んだ金額よりも少なく済んだため。来年度、消耗品あるいは旅費の使用に充てる予定である。
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