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2017 年度 実施状況報告書

早期に癌化する白板症を生検時に確実に判定し見逃さない

研究課題

研究課題/領域番号 16K11701
研究機関東京歯科大学

研究代表者

恩田 健志  東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30433949)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード口腔白板症 / 口腔扁平上皮癌 / 前癌病変 / 癌化 / バイオマーカー / 発現異常タンパク質 / プロてオーム解析 / 免疫組織化学染色
研究実績の概要

口腔白板症は、前癌病変であり、口腔粘膜の角化亢進によって生じる白斑状の病変で、「他のいかなる疾患としても特徴づけられない著明な白色の口腔粘膜の病変」と定義されている。口腔白板症の癌化メカニズムは未だ不明である。本研究は、これまでに研究代表者が行ってきた口腔扁平上皮癌のバイオマーカーに関する研究を発展させて、白板症の癌化メカニズムを解明し、臨床へ応用することである。口腔白板症症例の生検時切除標本を口腔白板症の確定診断後、5年以上経過観察が可能で5年間癌化しなかった群(第1グループ( G1))と口腔白板症の確定診断後、5年以内に同部位から癌化が認められた群(第2グループ(G2))の2グループに分けて、これまでにリストアップしてきた口腔扁平上皮癌関連バイオマーカー候補のうちPDE5、SIRT1、HSP90、AMBPの4種類のターゲット分子についてモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、口腔白板症における発現量を解析した。また、G1とG2群におけるそれぞれの発現量と、臨床指標を比較検討した。正常口腔組織と比較して、G1群のPDE5とHSP90タンパク質発現量に著変は認められなかったが、G2群の発現量は高発現を示す症例が多い傾向であった。また、口腔扁平上皮癌組織のPDE5とHSP90発現量は高発現を示す症例が多かった。発現亢進と臨床指標との間に統計学的有意な相関は認められなかった。一方で、正常口腔組織と比較して、G1群およびG2群のSIRT1とAMBPタンパク質の発現量に著変は認められなかったが、口腔扁平上皮癌組織のSIRT1とAMBP発現量は低発現を示す症例が多かった。PDE5、SIRT1、HSP90、AMBPなどのタンパク質の発現量の増減が白板症の癌化と関連しており、その発現状態から白板症の診断、予後の判定、治療方針の立案、治療法の開発等に貢献できる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度の研究は、前年度解析した実験内容に引き続き、これまでに研究代表者がリストアップしてきた口腔扁平上皮癌関連バイオマーカー候補タンパク質についてモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、口腔白板症における発現量を解析することにより白板症の癌化メカニズムを解明することが目的であった。正常口腔組織(舌)、白板症組織(舌)、口腔扁平上皮癌組織(舌)についてPDE5、SIRT1、HSP90、AMBPの4種類の候補タンパク質について免疫組織化学染色法によりそれぞれの発現量と発現状態を解析できた。また、それぞれの組織における発現量と、臨床指標を比較検討し、口腔白板症の癌化に関するリスクファクターを検出することができた。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、前年度解析した実験内容に引き続き、バイオマーカー候補分子の種類を増やして免疫組織化学染色を行うことで、生検時の臨床検体を用いた 白板症の予後の判定方法の確立と治療方針の決定方法を樹立することを目指す。また、研究最終年度に該当するため、本年度は研究成果の学会発表を行うとともに学術論文を執筆し、国内外にむけて成果を公表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度は、これまでに科研費による研究で、研究代表者がリストアップしてきた167種類の口腔扁平上皮癌関連バイオマーカー候補の中から、PDE5、SIRT1、HSP90、AMBPの4種類の候補分子に対して、モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、正常口腔組織、口腔白板症組織、口腔扁平上皮癌組織における発現量を解析した。染色後、画像イメージとしてコンピュータに取り込み、これらの4つの分子の発現量を画像解析ソフトを用いて解析すること、およびその解釈に時間を要した。本年度は、前年度解析した実験内容に引き続き、バイオマーカー候補分子の種類を増やして免疫組織化学染色を行い、生検時の臨床検体を用いた 白板症の予後の判定方法の確立と治療方針の決定方法を樹立することを目指す。また、本年度は研究最終年度に該当するため、本研究の成果について論文を作成し、国内外に発表する予定であり、その際の必要経費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件)

  • [雑誌論文] Odors of Oral Cancer Cells: Potential Use in Oral Cancer Diagnosis.2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Onda, Kamichika Hayashi, Shoichi Sekikawa, Yukio Watabe, Nobuo Takano, Takahiko Shibahara
    • 雑誌名

      Oral science in Japan 2017

      巻: 4 ページ: 13-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Case of Verruciform Xanthoma with a Equivocal Exfoliative Cytological Diagnosis2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Onda, Kamichika Hayashi, Naoki Shiraishi, Nobuo Takano, Takahiko Shibahara
    • 雑誌名

      Bulletin of Tokyo Dental College.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 頭頸部腫瘍 歯原性腫瘍の臨床2018

    • 著者名/発表者名
      恩田健志,柴原孝彦
    • 雑誌名

      病理と臨床

      巻: 36 ページ: 312-317

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 口腔扁平上皮癌の予後予測における術前末梢血リンパ球数・単球数比の有用性に関する単施設後ろ向き研究2017

    • 著者名/発表者名
      渡部幸央, 鬼谷薫, 松本暢久, 林宰央, 森川貴迪, 恩田健志, 藥師寺孝, 大畠仁, 高野伸夫, 柴原孝彦
    • 雑誌名

      日本口腔外科学会雑誌

      巻: 63 ページ: 185-192

    • 査読あり
  • [学会発表] 小児に認めた腺腫様歯原性腫瘍の一例2017

    • 著者名/発表者名
      角屋貴則, 左右, 林宰央, 柴野正康, 恩田健志, 成田真人, 大畠仁, 高木多加志, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第29回日本小児口腔外科学会学術大会
  • [学会発表] 舌扁平上皮癌組織におけるHSP90の発現異常2017

    • 著者名/発表者名
      白石尚基,恩田健志,林宰央,松本暢久,関川翔一,渡部幸央,高野伸夫,柴原孝彦
    • 学会等名
      第62回日本口腔外科学会総会・学術大会
  • [学会発表] AMBPは口腔扁平上皮癌の細胞浸潤・遊走およびリンパ節転移と関連する2017

    • 著者名/発表者名
      関川翔一,鬼谷薫, 松本暢久,林宰央,恩田健志,野村武史,高野伸夫,柴原孝彦,本田一文
    • 学会等名
      第62回日本口腔外科学会総会・学術大会
  • [学会発表] 口腔癌細胞の臭気を利用した口腔がん診断の可能性2017

    • 著者名/発表者名
      恩田健志, 林宰央, 松本暢久, 関川翔一, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第27回日本口腔内科学会第30回日本口腔診断学会合同学術大会
  • [学会発表] 口腔白板症組織および舌扁平上皮癌組織におけるPDE5タンパク質の発現異常2017

    • 著者名/発表者名
      松本暢久, 恩田健志, 林宰央,関川翔一, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第27回日本口腔内科学会第30回日本口腔診断学会合同学術大会
  • [学会発表] 舌扁平上皮癌組織における長寿遺伝子Sirt1の発現異常2017

    • 著者名/発表者名
      恩田健志, 林宰央, 関川翔一, 松本暢久, 益田遼, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第28回日本老年歯科医学会学術大会
  • [学会発表] オーラルジスキネジアに伴う難治性潰瘍に対するオーラルアプライアンス治療の1例2017

    • 著者名/発表者名
      林宰央, 恩田健志, 大金覚, 松本暢久, 藥師寺孝, 大畠仁, 高野伸夫, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第28回日本老年歯科医学会学術大会
  • [学会発表] 抗がん剤誘発口内炎に対するラットを用いた治療薬の探索2017

    • 著者名/発表者名
      林宰央, 恩田健志, 関川翔一, 松本暢久, 大金覚, 小澤夏生, 神尾崇, 藥師寺孝, 大畠仁, 高野伸夫, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第71回NPO法人日本口腔科学会学術集会
  • [学会発表] FDM方式3Dプリンタの歯科口腔外科領域への応用と課題2017

    • 著者名/発表者名
      神尾崇, 松本暢久, 林宰央, 恩田健志, 薬師寺孝, 高木多加志, 柴原孝彦, 澁井武夫
    • 学会等名
      第71回NPO法人日本口腔科学会学術集会
  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌細胞におけるPDE5の機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      松本暢久, 林宰央, 恩田健志, 関川翔一, 益田遼, 小澤夏生, 白石尚基, 柴原孝彦
    • 学会等名
      第71回NPO法人日本口腔科学会学術集会
  • [学会発表] 擦過細胞診で擬陽性と診断された疣贅型黄色腫の1例2017

    • 著者名/発表者名
      恩田健志,松本暢久,林宰央,川上真奈,柴原孝彦
    • 学会等名
      第26回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会
  • [学会発表] 頸部郭清術術後の頸部検出菌種に関する検討2017

    • 著者名/発表者名
      14.成田真人,林宰央,岩本昌士,森川貴迪,右田雅士,恩田健志,藥師寺孝,柴原孝彦
    • 学会等名
      第26回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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