研究課題
本研究では、これまでに研究代表者が行ってきた口腔扁平上皮癌のバイオマーカーに関する研究を発展させて、口腔白板症の癌化メカニズムの解明を試みた。口腔白板症症例の生検時切除標本を口腔白板症の確定診断後、5年以上経過観察が可能で5年間癌化しなかった群(G1)と口腔白板症の確定診断後、5年以内に同部位から癌化が認められた群(G2)の2グループに分けて、前年度までにリストアップしてきた口腔白板症関連バイオマーカー候補のうちPDE5、SIRT1、HSP90、AMBP、SYK、ANXA2の6種類のターゲット分子について、モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、タンパク質の発現量を解析した。正常口腔組織と比較して、G1群のPDE5とHSP90タンパク質発現量に著変は認められなかったが、G2群の発現量は高発現を示す症例が多い傾向であった。 また、口腔扁平上皮癌組織のPDE5とHSP90発現量は高発現を示す症例が多かった。発現亢進と臨床指標との間に統計学的有意な相関は認められなかった。一方で、正常口腔組織と比較して、G1群およびG2群のSIRT1、AMBP、SYKタンパク質発現量に著変は認められなかったが、口腔扁平上皮癌組織におけるSIRT1とAMBP、SYKの発現量は低発現を示す症例が多かった。ANXA2のタンパク質発現状態は、正常口腔組織とG1群との間には、著変は認められなかったが、G2群の発現量は低下を示す症例が多い傾向であった。 口腔扁平上皮癌組織におけるANXA2の発現量は低発現を示す症例が多かった。PDE5、SIRT1、HSP90、AMBP、SYK、ANXA2などのタンパク質の発現量の増減が白板症の癌化と関連しており、その発現状態から白板症の診断、予後の判定、治療方針の立案、治療法の開発等に貢献できる可能性が示唆された。
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