研究課題/領域番号 |
16K11705
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 正敏 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (60366614)
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研究分担者 |
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50433339)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 転写因子DEC1 / 転写因子DEC2 / 転写因子TWIST1 / 口蓋裂 |
研究実績の概要 |
自然発生する口蓋裂の発生様式については解明されていない。そこで、口蓋形成期における種々の形態学的変化のうち、細胞増殖活性、上顎骨の初期発生、血管系の形成に着目し、これらの点が口蓋裂発生にどの様に関与しているかを明らかにするために、口蓋裂の発生頻度が高いA/JJmsSlcマウスを用いて口蓋の発生過程を比較検討した。 口蓋裂マウスでの骨組織分化は、切歯歯胚外側および眼窩下神経外側の間葉にアルカリホスファターゼ活性が出現し、臼歯歯胚の正中側に沿って口蓋突起内を拡延し上顎骨が形成された。血管分布は水平転位前には鼻腔側に比して口腔側で密であり、口腔側・鼻腔側移行部には毛細血管の拡張像が観察されるが正常群に比して遅延していた。また、口蓋突起自由縁の球状塊は認められなかった。転写因子DEC1および DEC2は中枢のみでなく、末梢組織で概日リズムを持った発現をしていた。これらの発現は時計遺伝子CLOCKの変異体では大きく影響を受けており、時計機構におけるCLOCKの重要性を示した。また、転写因子TWIST1は上皮間葉転換において重要な役割を果たすとともに、間葉系細胞の分化抑制に関わることが知られる。本研究では、自然発生する口蓋裂におけるDEC1、DEC2およびTWIST1遺伝子発現制御機構を明らかにすることを目的とし、それらの発現量の関連を検討した。DEC誘導における転写制御について検討を加えた結果、DECの発現誘導の際の転写制御機構を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画で使用予定のマウスは現在、国内での生体がなく、凍結胚からの繁殖となり、予算と時間を要するため、予定とは異なるマウスを使用した。本研究ではマウス胎仔から口蓋裂マウスを得て行うものであり、代替えで使用したA/JJmsSlcマウスの口蓋裂マウスの発生率は8~10%とういう報告から本研究に使用することとなった。しかしながら、現在のところ約1%の発生率であることから、予定頭数に達するために時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にある顕微鏡にレーザー照射装置が接続された機器を用いて、顕微鏡下でA/WySnマウス胎仔の口唇口蓋裂を観察後、切片上の標的組織をレーザーによって切り出し採取し、採取した組織からRNA画分およびタンパクを回収する作業は困難であったため、計画通りとはならなかった。 今後は補助事業期間の延長を申請したため、口蓋裂マウスの検体体数をさらに増やし、追加した検体のパラフィン切片を用いた、免疫組織科学染色を用いてDEC2、Twist1, Snail、SlugおよびSmad3のタンパクの解析を行う。さらに凍結切片の作製を行い、in situ hybridization (ISH)法にて生体組織の細胞内に発現しているDEC2、Twist1、Snail、SlugおよびSmad3のmRNAの解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画にある顕微鏡にレーザー照射装置が接続された機器を用いて、顕微鏡下でA/WySnマウス胎仔の口唇口蓋裂を観察後、切片上の標的組織をレーザーによって切り出し採取し、採取した組織からRNA画分およびタンパクを回収する作業は困難であったため、計画通りとはならなかったため、その費用が生じなかった。 口蓋裂マウスの検体数が少なかったため、今後はさらに追加した検体のパラフィン切片を用いた、免疫組織科学染色を用いてDEC2、Twist1, Snail、SlugおよびSmad3のタンパクの解析を行う。さらに凍結切片の作製を行いin situ hybridization (ISH)法にて生体組織の細胞内に発現しているDEC2、Twist1、Snail、SlugおよびSmad3のmRNAの解析をする予定であり、その物品費およびその他の費用、また、学会発表や論文投稿などの諸費用に使用する予定である。
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