研究課題/領域番号 |
16K11708
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
藤永 桃歌 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (00772914)
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研究分担者 |
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
井出 信次 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00611998)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メラトニン / 悪性腫瘍 |
研究実績の概要 |
メラトニンの口腔癌に対する抗腫瘍作用および放射線性防護作用を同時に発揮し得るか否かについて明らかにすることを目的に、まずin vitroにおける口腔癌細胞株の増殖、遊走、接着、浸潤、アポトーシスなどの細胞生物学的特性に対するメラトニンの影響について検討した。具体的には、対象とする口腔癌細胞株として、口腔底扁平上皮癌由来のHo-1-u-1細胞、歯肉癌由来のCa9-22細胞、舌癌由来のHSC-4細胞、SAS細胞およびHSC-3細胞の5細胞株を用い、これらの細胞を通法に従って培養し、以下の検討に用いた。a.各癌細胞の増殖に対するメラトニンの影響: 各細胞の培養過程で各種濃度のメラトニンを添加し、細胞増殖能の変化をクリスタルバイオレット法により検討した。 b. 各癌細胞の遊走に対するメラトニンの影響: 各細胞を培養し、コンフルエントに達した後にスクラッチを行い、その後種々の濃度のメラトニンを添加し、経時的に細胞が遊走してきた面積を計測し、細胞遊走に対するメラトニンの影響につき検討した。 c. 各癌細胞の細胞接着に対するメラトニンの影響: 各細胞を培養しコンフルエントに達した後、メラトニンを各種濃度で培養液に添加し、各細胞の細胞接着関連分子(フィブロネクチン、ラミニン、カドヘリン)の発現の変化を経時的にreal time RT-PCR法およびウエスタンブロット法により検討した。d. 各癌細胞の浸潤能に対するメラトニンの影響:CytoSelectを用いて、各細胞をプレートインサートの上段に播種し、メラトニンを培養中に添加することでインサート下段への細胞浸潤が阻害されるか否かについて検討した。その結果、細胞増殖においてはメラトニンにより増殖抑制効果が認められたが、遊走、細胞接着、浸潤能に関しては有意な結果とならなかった。今後濃度を変えて追加実験を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りの実験を進めており、順調に進展している。結果に関しては有意な結果が出ていない部分もあるが、今後メラトニン濃度の変更や、細胞株の追加など、検討すべき項目が多く存在し、多角的に検討可能であることから、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はメラトニンの腫瘍細胞の細胞生物学的特性に対する影響についてさらに明らかにするとともに、口腔癌担癌モデルマウスを用いて、メラトニンの投与により腫瘍の縮小効果があるか否かについて明らかにし、その抗腫瘍効果のメカニズムについて増殖、接着、浸潤、アポトーシスなどの観点からより詳細に検討する。さらに口腔癌担癌モデルマウスに放射線照射を行い、その際メラトニンを投与することで抗腫瘍作用と正常組織への放射線防護作用が同時に発揮されるか否かにつき検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度施行したメラトニンの腫瘍細胞の細胞生物学的特性に及ぼす影響についての検討のうち、浸潤能の一部とアポトーシスに対する影響については未実施のため、これらにかかる経費を次年度繰越とした。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分と本年度請求分を併せて、未実施の計画を実施するとともに、有意差の出ていない検討項目については研究方法の変更や細胞株の追加などで検討を行う予定である。
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